はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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右手くん「ちょっといいこと」を数える

「今日は『ちょっといいなと思ったこと』を数えてみない?」と、左手くん。
「負のスパイラルから、抜け出すために?」とは、右手くん。
「うん。ちょっとだけってとこが大切なんだ。大きないいことじゃなくてさ」
何もかも上手くいかないと落ち込んでいた右手くんは、少し考えて言った。
「トマトを切ったんだ」「うん。包丁は、きみの担当だもんね」
「トマトを半分に切ると、両側にひらく感じで割れるだろう?」
「割れるねぇ。桃太郎の桃みたいに、パカッとね」
「そうそう。桃太郎の桃! あの瞬間が、たまらなく好きなんだよ」
「うん。確かにあれ、面白い」
「今日は、皮がささくれることなくスパッと切れて、まな板からも落ちなかった。熟しすぎてもいなくて固くもない、綺麗なトマトだったよ」
「いいね! それ、完璧な『ちょっといいこと』だ」
「なんだか元気が湧いてきたよ、左手くん」「うん。よかった、右手くん」

いまだ右手くんは、負のスパイラルから抜け出せないでいる。五十肩は、出口が見えないだけに、彼のダメージは相当なものであったと考えられる。
夢の中で何かを拾おうと、つい現実世界で手を伸ばしてしまった右手くんの悲鳴に、目が覚める夜もある。
しかし人生いつもいつも順風満帆のはずもない。追い風はなくとも、嵐の波に飲まれたというほどの出来事でもなく、どちらかと言えばこれは、凪なのだと考える。帆に風を受け前に進むことはないが、広がっているのは静かな海だ。
心配した義母が、メールをくれた。
「気づかずにムリをしてる時には、身体がストライキを起こすものだ」と。

凪は「和ぎ」とも、かき、気持ちが和むという意味も持つ。
ストライキ中(?)の右手くんには、ゆっくりと休んでもらい、わたしはわたしで、凪の時間を楽しもうと思う。

「おぎゃあ!」いやいや。トマト太郎は、さすがに生まれませんでした。

トマトとインゲンの雑炊は、夏の味。
とろっとした卵を、軽く混ぜて食べるのが好きです。
玄米を混ぜたので、ぷちぷち食感も楽しめました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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