はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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魔法のおまじない「自分に内緒で」

神戸の夫の実家に帰ると、義母が焼き茄子を冷やしてくれていた。他にもいろいろ用意してくれていて、義父と夫と4人、ビールを飲みつつおしゃべりし、焼き茄子などをつまんだ。
「お茄子は、焼き立ての熱いうちに皮をむいた方が美味しいんだけど、最近はそこまでこだわらなくてもいいか、と思うようになったのよ」
そう話す義母に、わたしは何年か前に茄子の焼き方を教わっている。

料理本を見て作ったことはあったのだが、義母が言うように焼き立ての茄子の皮をむくのはしんどい。指先の熱さを我慢しながらの作業になる。焼き茄子は好きでも、作る過程がしんどいと自然と作る回数も減り、レシピの中から忘れ去られていた。教わったのはそんな頃だ。
「熱いまま皮をむくの、たいへんじゃないですか?」
義母に聞くと肩をすくめ笑い、いたずらっ子が内緒話をするかのように言う。
「そういう時には、自分に内緒で、こうするのよ」
水を入れたボールに焼き立ての茄子を浸し、義母は見る間に熱々の茄子を冷やしてしまった。それから一緒にゆっくりと皮をむいた。
そうか、と納得した。多少水っぽくなったとしても、冷やした焼き茄子は美味しい。しんどいところは省いて自己流に作ればいいのだ。それから、我が家の食卓に焼き茄子が登場する機会が増えた。若い頃には杓子定規にやっていた料理も、ずいぶんと手抜きが上手くもなり、以前より料理が楽しくもなった。
この「自分に内緒で」という言葉には魔法の力があるとひとりうなずき、義母に感謝したものだ。

そんな話をすると、義母は「そうだったかしらねぇ」と首を傾げた。
もちろん覚えていなくとも当然だ。何しろ義母は、すっかり自分に内緒にしたままだったのだ。もともと知らなかったことを、覚えているはずもない。
これから茄子が美味しい季節。焼き茄子もたくさん焼いて楽しもう。

夕べ帰って来て、また茄子を焼きました。水につけてからむいても、

焼いた色はそのまま。香ばしさも残っています。

たっぷりの鰹節をかけて、さっぱり柚子ぽんで。
茄子ならいくら食べても飽きないわたしは、茄子ホリック?



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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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