はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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カワウソだね?

大江健三郎賞を受賞した『かわいそうだね?』綿矢りさ(文藝春秋)を読んだ。恋人、隆大がお金に困った元カノを自分のアパートに同居させてしまう。そんな主人公、樹理恵の葛藤が描かれている。かわいそうだからって元カノを同居させるなんてあり? だいたいかわいそうってなによ、みたいな話だ。
 
ちなみに我が家でわたしは「かわいそう」と言ってしまうとかわいそう度が増す時、ジョークにできる場合のみ「カワウソだね」と言うことにしている。
たとえば子どもが足をぶつけたけどケガというほどでもない時など「かわいそうだね、痛かったね、よしよし」と言えるのは小学校低学年までだ。それ以上になったらもうギャグにするしかない。
「いたいよー」という娘に「カワウソだねー」と言うと、
「なんかムカつく」と返ってくる。これが大事なのだ。
彼女は怒りの矛先をわたしに向け、痛みに対するやり場のない怒りを一瞬とは言え発散することができる。夫がサッカーで転んだ時なんかにも有効で「カワウソだったね」と言うわたしに彼は「なんかムカつく」という顔を向けてくる。その表情を見るにつけ家族をサポートする立場のわたしとしてはまあ成功してるんじゃないかなと思うというわけだ。
 
もちろん真剣に恋人とのことを悩んでいる樹理恵には言えっこないし、最近絶滅が確認されたニホンカワウソにだって「カワウソだったね」とは、ちょっと言えないな。

「余るくらい持っていた方が安心なのに、いつも必要なだけ持って出ていく人のほうが、自信ありげでたくましそうに見えるのはなぜだろう」
『かわいそうだね?』より


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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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