はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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八百万の神が宿る電子機器くん達

「イヤホンくん! イヤホンくん!」
娘が洗面所で必死に説得している。歯磨きしている最中にイヤホンが落ちてきそうになったのだ。彼女が大好きな電子機器達は、水が苦手だ。だったら外して磨けばいいのにと思うが、もう片時も離れられない仲なのだ。
「イヤホンくんは説得に応じたようだね」とわたし。
「わたしのイヤホンくんですから」と娘。
わたし達親子はなぜか様々な物を擬人化し、さん付けくん付けで呼ぶ。
彼女は最近、新しいウォークマンくんを手に入れ浮き浮きしている。購入に当たりこんな会話が繰り広げられた。
「最近ウォークマンくんの調子が悪いんだ。もう買い換え時期かな」
「あ、そんなことをウォークマンくんの前で言っちゃあ、すねて余計に調子悪くなるよ」
「だいじょうぶ。わたしの電子機器くん達は主人の性格わかってるからね。そんなことしたらすぐに見捨てられるって」
「かもね。それにお父さんの車は、修理に出そうかなって言った途端に調子よくなるし」「修理嫌なのかな?」「病院行きたくないみたいな感じかな?」
車はすぐに買い替えられないが、小さな電子機器達は修理に出すのと変わらない値段で買えることも多い。日々性能もよくなり値段も安くなっている。
「アマゾンさんで安いの見つけて、お年玉の残りで買うかなー」
娘は考えつつ言った。アマゾンさん……。わたしは深く湿った密林を思い浮かべた。もうアマゾンを密林と呼ぶのは古いのだろうか。
「一つ一つの物にも神が宿るという八百万(やおよろず)の神の国ならではの発想かな?」
娘は擬人化の理由をそう分析するが、なんか違う気がする。

(注)わたし達はパソコンに名前はつけません。

玄関の見張り役シーサーくん達
日々崩壊していくわたし達の会話に聞き耳を立てているよう

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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