はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『マスカレード・ホテル』

久しぶりに、東野圭吾を読んだ。『マスカレード・ホテル』(集英社文庫)
「マスカレード」は、仮面舞踏会の意味があるが、ホテルでそういったパーティを行う物語ではない。ホテルという場所に集う人々が、様々な仮面をかぶり、本当の姿とは違った自分を演じている。そんな人間の2面性の面白さを描いたストーリーだ。

ヒロイン山岸尚美は、一流ホテル、コルシアのフロントクラーク。そこに警察から異例の捜査が持ち込まれた。連続殺人事件の次の犯行場所がコルシアである可能性が高く、刑事達をホテルマンに化けさせ、潜入捜査を行うというものだった。尚美は、フロントクラークに化ける若手刑事、新田の教育係となる。
こうして仮面をかぶった刑事達が入場し、仮面舞踏会は始まっていく。客も様々。視聴覚障害者を装う老婦人。ホテル内の備品を盗むカップル。この男を近づけるなと写真を持ち込む女性。新田を目の敵にし難癖をつけてくる男。ストーカー被害にあっていることを新郎に隠している花嫁。
仮面をかぶった怪しげな人々が集うなかで、捜査は行われていく。

この小説でとても魅かれたところは、尚美を初めとするホテルマン達のプロ意識である。以下、尚美が新田にホテルマンとしての心得を説くシーン。
「ルールはお客様が決めるものです。昔のプロ野球に、自分がルールブックだと宣言した審判がいたそうですが、まさにそれです。お客様がルールブックなのです。だからお客様がルール違反を犯すことなどありえないし、私たちはそのルールに従わなければなりません。絶対に」

また、尚美の上司、久我も、新田に言う。
「基本は、お客様を快適な気分にさせる、ということです。身だしなみや言葉遣いに気を配るのも、そのためです。自分の言ったことに反論されれば、殆どの人は不愉快になります。だからホテルマンはお客様には反論しません。しかし、何でもいいなりになるわけでもありません」

そして新田達刑事も、もちろんプロの仕事をする。そんなプロフェッショナルなぶつかり合いが、小気味よく描かれたサスペンスだった。

東野圭吾は、加賀恭一郎シリーズが好きで、よく読みました。
『マスカレード・ホテル』は、シリーズ第1弾だそうです。楽しみ~♪

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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