はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『at Home』

タイトルの通り、家族がテーマだ。本多孝好『at Home』(角川文庫)
帯には「父さんは泥棒 母さんは詐欺師 サイテーで、最高の僕の家族」とある。その表題作は、竹野内豊と松雪泰子で、映画化決定だそうだ。
文庫は、4編収録の短編集。
表題作の他、血の繋がらない父娘を襲う、不安『日曜日のヤドカリ』
借金を返す代わりに1年間、妊娠した見知らぬ外国女性と暮らすことになった男の戸惑い『リバイバル』
妹の子どもの身体じゅうに、虐待の痣を見つけた兄の衝撃『共犯者たち』
ごく普通とは言えないが、それでも何処かにいそうな家族が描かれている。

家族だから、甘える。頼る。わがままを言う。当たり前のそんなことが、暴力に繋がっていったら? 甘えから出る言葉だって、相手を傷つけるにはじゅうぶんで、頼られ過ぎて折れてしまう弱さも、誰だって持っていて、わがままを言い合うことで壊れることだってあることも忘れがちで。家族の近しさ故に心の弱さが表れ、相手が壊れても壊れても止められず、暴力をぶつけてしまう。

家庭とは、そんな落とし穴が、不意に現れる要素が隠された場所なのではないか。うたた寝したアリスがうさぎ穴に落ちていったように、ほんの小さなきっかけで、落とし穴は見え隠れしているのではないか。すぐそこに危うさを感じ、恐くなる小説だった。

文庫を購入した際には、帯で拳銃が見えなくて、料理本のように見えました。

我が家の朝ご飯には、拳銃は似合いそうにありません。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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