はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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1ユーロの失敗

チップを払う文化には、馴染めない。しかしそれがマナーだというのだから、郷に入れば郷に従えで、ホテルの枕の下にはコインを置いて出かけるし、タクシーに乗れば「グラシアス!」とチップを渡す。
グラナダでは、ビールを1杯注文するごとにタパス(軽いつまみ)が無料で出てくる店も多く、物価も安い。そんな店でカウンターに立ち、おしゃべりしたりして笑顔をたくさんもらうとチップをはずみたくなることもある。
だが好意でしてくれたことに、お金を払おうとするのは失礼なんじゃないかなという気持ちは、わたしのなかにいつでもある。それなのに、失敗したなぁと思う出来事があった。

グラナダのホテルは石畳の階段の上にあり、チェックアウトした後、大きなスーツケースを持ち上げて運ばなくてはならなかった。もちろんがんばって運ぶつもりだったのだが、ホテルのボーイくんが何も言わないのにやって来て、すっと持ち上げ階段の下まで運んでくれた。
「ムーチャス・グラシアス!(どうもありがとう!)」
心を込めてスペイン語で礼を言い、チップを渡そうか一瞬迷ったが、差し出した。すると彼は肩をすくめ、いらないという仕草をし、振り向かずに階段を上って行った。
「サンキュー!」わたしは、その背中に大声で叫んだ。
言葉や習慣は違っても、同じ人間だ。彼がただ親切心から運んでくれたことは、わかっていたのに。
朝食付き宿泊だったから、3泊毎朝ブッフェで顔を合わせて「ブエノス・ディアス(おはよう)」と覚えたてのスペイン語で挨拶すると、笑顔で挨拶を返してくれた彼。夫がグラナダのサッカ-チームのスタジアムの場所を聞くと、地図を持って来てちょっと遠すぎると教えてくれた彼。やけにフレンドリーな変わった日本人だと思っていたかもしれない。
「ありがとう」
胸のなかでもう一度礼を言い、1ユーロコインをポケットに入れ、スーツケースを引いて次なる街コルドバへと向かって歩き出した。

ホテルがあった川沿いの気持ちがいい道。
     
雰囲気のある素敵な階段が、      ビールでもワインでも出てくる
何処にでもありました。        美味しかった無料タパス。 

リストランテ『レオン』は、地元客も多い明るく家庭的な雰囲気。

ライトアップが始まった暮れていく『アルハンブラ宮殿』を眺めて。
photo by my husband


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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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