はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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オリーブの木にとまった三日月

バルや市場で気軽に飲むのも楽しいがリストランテでゆっくり食事もしたいねと、夫の友人に教わったバルセロナ港沿いのシーフードレストランに行った。
スペインのリストランテは、夜は8時から店を開ける。午後は長い昼休み『シエスタ』を取る習慣なのだ。9時を回ってもまだ夕暮れ前の明るさだから、道を歩く人も多く、夕食も9時頃からスタートするのがスタンダードなよう。わたし達もそれにならい夕方からゆっくり昼寝をして、一駅歩いて海沿いを散歩し、9時前に夕食の席に着いた。

海が見える席はオリーブの木陰にあり、それだけでゆったりした気持になる。ランブラス通りの喧騒やバルの忙しい雰囲気との対比も相まってホッとした。同じ街にいても、時間の流れ方が違っている。
「あ、ほら、オリーブの木に小鳥がとまってる」と、ビールを飲みわたし。
「ほんとだ。鳴いてるね」
ワインを飲み、夫もゆったりした気分になっているようだ。
「羽根がまだ産毛だね。ずっと同じ枝にいるけど、飛べないのかな?」
「作り物なんじゃないの?」と、夫が彼特有のジョークを飛ばす。
だが小鳥はきょろきょろと周りを見回したり、ぴいぴい鳴いたりしている。どう見ても確かに生きていた。
ブイヤベース風味のスープや生のタラを使ったサラダ、舌平目のオレンジソースがテーブルに並んでも、小鳥は同じ枝から動かずにぴいぴい鳴いていた。
アコーディオン弾きのおじさんが木の下でにぎやかなメロディを奏でても、まだそこに居た。飛べないのかなと、また心配になる。
しばらくして、焼き立てのパエリアが締めくくりに出て来た時だ。オリーブの枝を見上げると小鳥はいなくなっていた。そしてその枝には、小鳥の代わりに浅い闇に浮きだした少し太った三日月がとまっていた。
「落ちたのかな?」しかし、オリーブの木の下に小鳥はいなかった。
「夜が更けて、おもちゃの鳥も店じまいなんだよ」
夫は、またも彼特有のジョークで、小鳥作り物説を主張し、パエリアに舌鼓を打ちワインを空けた。

小鳥は何処へ行ったんでしょうか?
月はすべてを知っているような顔で笑っていました。

ブイヤベース風味のシーフードスープから始めて……。

舌平目のオレンジソース。

パエリアのお米は固めで、持っていたイメージと違っていました。
しっかり焼いたパエリアは、海鮮の旨味いっぱいでした。



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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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