はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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比率の落とし穴

夫が所望したのは、おでんだった。バレンタインの夕食メニューである。
大雪の予報に「買い物は多めに」との指示と共にのリクエスト。好判断かもと、おでんを鍋いっぱいに煮た。
夕方、駅まで夫を迎えに行き、雪道をふらふらになって帰ってくると、煮ておいたおでんのいい匂い。薪もパチパチと燃えていて、お風呂も炊けている。
「完璧だぜ!」と、心のなかでガッツポーズを決め、夫が風呂に入っている間に、バレンタインの『生チョコ』を作り始めた。
毎年作っているのだが、今年はいつも使っているレシピ本を、ひとり暮らしを始めた末娘が持っていってしまったため、ネットで検索。
「生クリーム100ccと、チョコ200gかぁ。 シンプルレシピが一番美味しかったりするんだよな」
湯煎でブラックチョコを溶かし、生クリームを計る。
「1対2だったよね。生クリーム100ccと、チョコ2枚」
ここで何かが可笑しいと気づかないのが、おっちょこちょいと言われる所以である。生クリームとチョコを混ぜてから気づく。板チョコは1枚55gだった。チョコを足そうにも娘が先に全部使ってしまっていて足すチョコはない。
「わーん、これじゃ1対1じゃん!」上の娘に泣きつくも、
「いいんじゃない、固まれば。柔らかくても」と、彼女らしい大雑把な返答。
「比率の落とし穴に、落ちた。完璧に、失敗したぜ」顔で笑って心で泣いて、ビールを空けて熱燗をつけ、家族3人熱々おでんの食卓を囲んだ。

夜も更けて、スコッチウイスキーをロックで、いただく。酒の肴にと、柔らかすぎて上手く形が作れず、不格好に崩れたチョコを出した。
「愛のチョコレート、失敗しました」と、うなだれるわたし。
「美味しいよ」と、夫。「うん、じゅうぶん美味しい」と、娘。
娘はパクパクと、5つのうち2つを、口に入れた。夫はまだ、半分をゆっくり味わっている。
「えっ? もう2つ食べちゃったの? これ、俺のなんだからね」と、夫。
「うん。美味しいね。よかったじゃん」と、娘。
夫のワインセラーから出したイタリア産の『ロッソ・ディ・モンタルチーノ』を、くるくる回しつつ、すましている。
比率2対3。と、今度は正確に推し量る。力関係は、逆かな、とも。

おでんは、とても美味しく煮えました。豪華!

大根がいちばん好き。次はじゃが芋。3位、生姜味の魚河岸揚げ。

卵の茹で方は、いまだに『伊東家の食卓』で覚えた方法。
沸騰したお湯に冷蔵庫から出したての卵を、割れないようそっと沈めて、
弱火にして茹でます。つるんと、むけますよ。

餅か、団子かという、この風貌。悲しい。

夜は、ふたりでウイスキーを。と言いたいところですが、娘と3人で(笑)
「たまに溶け残ってるのがあって、それがまた美味しい」と、ふたり。
全然、フォローになってないんですけど。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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