はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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いつもと違う味を味わうことで得るもの

「お隣の県でも、やっぱ雰囲気、違うね」
高遠の町並みを、助手席で眺める。夫と『薪ストーブ祭』に行った後、城址公園近くのちょっと名の知れた蕎麦屋に行こうということになった。
蕎麦屋『壱刻(いっこく)』
「高遠蕎麦は、味噌で食べるんだよ」と夫からは聞いていた。
夫は先日、薪割り機の修理で高遠を訪れた際、高遠蕎麦は食べたからと、とろろ蕎麦を。わたしは、噂の高遠蕎麦を注文した。

蕎麦ちょこには、白い汁が入っていて、濃い色の味噌と大根おろしが添えてある。蕎麦つゆもある。
「大根おろしの汁に、味噌で味つけして、お召し上がりください」
店の女性は、お好みで蕎麦つゆでもと言い添えた。
「あ、美味しい」と、わたし。「不思議と美味しいよね」と、夫。
同じ蕎麦でも、地方によってはこんな食べ方もあったんだとの新たな発見に嬉しくなる。そして蕎麦つゆで食べてみて、また発見。
「鰹出汁の味が、濃いねぇ」
これは、高遠の味というよりは『壱刻』の味なのだろう。家で食べるいつも蕎麦つゆと違う味に、またも嬉しくなり舌鼓を打つ。

家で、と言っても、出汁をとったり手間を掛けて作る蕎麦つゆではない。生協のものを気に入って使っているだけだ。この春県外に出た末娘などは、スーパーで買った蕎麦つゆが美味しくないから送ってくれと頼んできた。それは本当に美味しくないのか、それとも慣れ親しんだ味を求めているのかと考えつつも、米を送るついでにつゆも送っている。

他の土地での味、違う人が美味しいと思って作った味を、味わうのは楽しい。料理の味付けを変えてみようかなと、考えるきっかけにもなる。長く守ってきた自分のやり方も、変えてみたらもっといいかもと疑うことだって必要なのだ。だが、そうして自分を疑ってみることは、意外と難しく忘れてしまいがちだ。だからこそ、機会在る度に思い出すようにしたい。
いつか末娘も、自分の蕎麦つゆを見つける日が来るのだろう。しみじみ考えつつ、熱い蕎麦湯をたっぷりとすすった。

手前にある蕎麦ちょこに入った白いのが、大根おろしの汁です。
蕎麦は3種類から選べます。二八のスタンダードなものにしました。

お洒落な入口は、田舎町では目を引きます。

でも隣の酒屋さんの年代物の看板には、もっと心魅かれるかも。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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