はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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白いゴーヤ

心のなかにあるものが、消滅した時と似ている。
白いゴーヤを見て、そう感じた。
例えば、誰かを好きだった気持ち。例えば、何かに魅かれていた気持ち。
もともと抱えていた、その気持ちの色や形を思い出せぬほど、すっかり失くなっていることに気づいた時と、似ているように思った。

幸いわたしは、まだごく近しい人の死を、経験していない。だからそれは、誰かを失くすのとは違っているのだろうと思う。誰かを失くした後にも、気持ちは残るはずだ。それとは違い、気持ち自体が消えるのは、色を失うのと似ているのではないかと、ゴーヤを見て感じたのだ。

白いゴーヤは、反論するだろう。
「わたしは、もともと、こういうモノなのです」
だが、だからこそ、似ていると感じる。何かを失った心には、全く違うモノが存在していくように思うからだ。
白いゴーヤは、こうも言うだろう。
「色や形が違っていても、ゴーヤはゴーヤです」
いや、だからこそ、似ていると感じる。心は心のまま、色を失い、味も形も尖った部分を失くしていくように思うのだ。
それでも、白いゴーヤは納得しないだろう。
「わたしは、わたしです」微笑みつつ静かに、言うかも知れない。

いただいたゴーヤが、あまりに綺麗だったので、心の形を連想したのかも。

緑のゴーヤは、炒めものやチャーハンに、美味しくいただきました。
白いゴーヤは、これから。何にしようかな。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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