はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
[1578]  [1577]  [1576]  [1575]  [1574]  [1571]  [1573]  [1572]  [1570]  [1569]  [1568

『後妻業の女』

映画『後妻業の女』を、観た。
じつは文庫本を買い読んでいる途中だったのだが、あまりのくだらなおもしろさに先に映画観てもいいかもという気になったのだ。ということで、夫婦50歳以上割引きということもあり日曜の映画館に出かけた。

結婚相談所を営む柏木亨(豊川悦司)は、そこの会員、武内小夜子(大竹しのぶ)らを使い〈後妻業〉をしていた。ターゲットは高齢の資産家男性。女を後妻に送り込み、その資産を相続させ金を半分せしめる。金、金、金の世界だ。
ストーリーは、小夜子の91歳の夫、中瀬耕造(津川雅彦)が倒れるところから始まる。以下小説『後妻業』(文春文庫)柏木と小夜子の会話より。

「爺はなんで倒れたんや。毒でも服ませたんか」
「そんな危ないことするかいな。ワーファリンを胃薬と取替えといただけや」
「それはいつからや」
「もう二か月にはなると思う」
ワーファリンは血液の抗凝固薬だ。それを二か月も服まなければ耕造が倒れるのも無理はない。
「あんたいま、どこにおるんや」
「爺さんのマンション。農林センターから帰ってテレビ見てたら寝てしもた」
「耕造は気を失のうただけか。呻いたりしてなかったか」
「小さい鼾かいてた。あれはまちがいない。脳梗塞や」
耕造には不整脈があり、心臓内で生じた血栓が脳に飛んだのだろう、と小夜子はいった。

トヨエツは、セックス依存症で金の亡者なラテン系大阪男を、大竹しのぶは、奔放な魅力で男達を翻弄する後妻業のエースを好演していた。
はてさて、柏木と小夜子の悪事は暴かれるのか。耕造の娘、尚子(長谷川京子)と朋美(尾野真千子)が探偵(永瀬正敏)を雇い、捜査を始める。
以下小説『後妻業』本文から。

「この謄本見たら分かるやんか。誰が見てもおかしいわ」
「そらおかしいと思う。・・・しかし、戸籍は転籍するたびに、それ以前の結婚についての記載は抹消される。こうして、いちいち本籍地の役所から謄本や抄本をとって履歴を辿らんことには、小夜子が何回、入籍、転籍したのか分からんのや」
「小夜子は平成十五年以前にも、結婚、離婚をしてるよね」
「それはまちがいない。小夜子は後妻業で食うてるんやからな」
「守屋くん、警察に知り合いはいてないの」
「検事ならおらんこともない」
神戸地検に司法修習生時代の同期がいるという。
「そのひとに教えてよ。この十年で四人も死んでるんやで」

柏木は、言う。
「爺を騙すのは功徳や。たとえ一月や二月でも夢を見られるんやからな」
金も時間もあるけれど、足りないものがある。それを満たしてやって金をとるのは、いいことなのだと。
実際、シニア向けの結婚相談所は流行っているらしい。人が長く生きるようになった時代に流れゆく先の光と影が、スクリーンに見え隠れしていた。

文庫カバーは二重でした。映画『後妻業の女』は公開されたばかり。
上にかかっていたのは、そのプロモーション用の文庫カバーです。

拍手

06 2019/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
Template by repe