はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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静けさに静けさを塗りたくったような夜

道路を挟んだ南側の別荘だった場所に、ソーラーパネルが設置されることになり、半月ほど前、突然工事が始まった。
我が家の土地ではないのだから、もちろん文句は言えない。別荘のおじいちゃんとは懇意にしていたが何年か前に亡くなってからは覚悟していたことでもある。マンションが建つよりマシだとも言える。(こんな田舎に建つ訳ないが)

おじいちゃんは、赤松林だった土地を『松原農園』と名づけ、ひとり黙々と植物園を作っていた。外見は全く違うのだが、わたしのなかでのイメージは『赤毛のアン』に登場する寡黙で働き者でアンを誰よりも愛したマシュウだった。

赤松も、もみじも、百日紅も、山桜も、椿も、花梨も、銀杏も、梅も、みんなみんな切り倒されていった。その騒音は、耳にうるさいだけではなく、胸に響く。外出する日が増えたのもそのせいで、旅した初島では眠ってばかりいた。

業者さんは、夕方5時きっかりに仕事を切り上げる。きちんと挨拶をしてくれる気持ちのいい人達だ。その後は、いつもの静けさが戻るのだが、それがいつもの、とは思えない。身体のなかに音と振動が残っている。いつもよりも、静かなのだ。静けさに静けさを塗りたくったような夜に、変な夢ばかり見るようになった。豆腐を大事に抱えて人ごみのなかエレベーターに乗ったり、終電もとっくに過ぎた真夜中の駅をひとり高架下から見上げていたり、たった今自分で焼いたばかりの出汁巻き卵に触れると氷のように冷たかったり。

此処、北杜市には、次々にソーラーパネルが設置されている。大抵は、林や農地だった場所だ。此処だけじゃない。たいしたことじゃない。と、思ってみる。おじいちゃんにいただいた、もみじも、雪柳も、南天も、庭で元気に育っている。原発再稼働には、絶対反対だ。太陽光発電が、必要だということも判る。それでも、思ってしまう。
「人間は、いったい何をやっているんだろう」と。

空が、やたらと広くなりました。秋の空のように見えるなぁ。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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