はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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目の前に大きく存在しつつも、見えないもの

目の前に在るものが、目に入らないことがある。
例えばキッチンで胡椒を探していて、そこに在るのがあまりに自然すぎて、逆に目に入らず、探し回ってしまったり。
そんな日常のトラップにはよくハメられるが、目の前に在るものの存在が大き過ぎて見えなくなってしまうということも、ままある。

「正月用に、徳利を新調したいね」と、夫と話していた。
陶器選びの好きなわたしが、ひとり探すのもいいが、もう10年以上は徳利を新しくしていない。たまにはふたりで選ぼうかという話になり、韮崎は『京MONO』の暖簾をくぐった。行きつけの雑貨屋だ。

暖簾をくぐるなり、見えていなかったものが視界に入ってきた。
「あ、もう、お正月が来るんだ」
何を言っているんだか、である。正月用にと、徳利を探しに来た店なのだ。
スーパーでしめ飾りや鏡餅が、一角を作り並べてあるのも日々目にしている。年末に帰省するのかと息子や末娘にメールもした。御節の材料も、そろそろ生協で注文する時期だし、義母からは、正月用にと金箔入りの純米酒が届き、実家からも北海道の数の子たっぷり松前漬けが届いた。
しかし、それらすべてが、日常というパズルのピースとしてかちりとハマり、違和感なくすっぽりと隠れてしまっていたのだ。
それが、ほんの少し日常と違う場所で、ようやく目に入ってきた。

遠い昔、ままごとをした日のワンシーンを思い出した。
「バナナ、どこ? ねぇ、バナナ、知らない?」と、わたし。
3人くらいの女の子がいて、ゴザの上に座って、小さな茶碗やら鍋やらがある。その小さなゴザの上の世界で、みんなで、本物よりもよほど色鮮やかで固く房と房がくっついた作り物のバナナを探した。
だが、ふと気づいたのだ。バナナは、わたしの小さな手のひらのなかにしっかりと納まっていることに。みんなで、大笑いした。

『京MONO』で、わたしは、手のひらのなかにあったお正月を見つけた。徳利は、夫と吟味し、飲み過ぎないようにと2合ほどの大きさのものを選んだ。

お正月が、みんなしてやってきたような雰囲気。楽しい!

徳利も、大小様々、色とりどり。たくさんあって、迷いました。

欠けた口を、金で接いだという『金接ぎ』を施したものを選びました。
熱燗を飲む楽しみがまた、一つ増えました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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