はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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サリュ! イザベル

近藤史恵の『タルト・タタンの夢』(東京創元社)の続き『ヴァン・ショーをあなたに』を読んでいる。フレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」を舞台にしたコージーミステリーだ。
ふと数か月前に2週間ステイしていったパリジェンヌを思い出した。彼女の名はイザベル。フランスに帰って元気にやっているのだろうか。
イザベルは上の娘がカナダでホームステイした時のルームメイトで、娘を頼って日本に来た。わたしは外国人のステイを受け入れるのも初めてだし何をしたらいいのかよくわからず、とりあえずフランス語を少しだけ覚えた。自分の国の言葉を少しでも知っている人がいたらうれしいだろうな、と。
「サリュ」ハローの意味。わたしは毎日「サリュ! イザベル」と挨拶した。しかしイザベルは娘にそっと言ったらしい。「サリュは若者言葉なのよ」わたしは涼しい顔で「サリュ」と言い「I’m young」とジョークを飛ばした。しかし後々「オッス!」のように使われていることを知る。イタリア語で「チャオ」はおはようもこんにちはもさよならにも使える便利な言葉だと覚えていたので多分同じ感覚なのだと思い込んでいた。付け焼刃とはこのことだ。
それでもイザベルとは通じ合うものがあり、言葉の壁を越えて親しく楽しい時間を過ごした。英語もできないわたしとフランス語の指差し会話帳を指差したりしながら、教えてもらったフランス語もある。幸せは「コントン」カフェ・ド・Cはイザベルとの時間が始まりだった。乾杯は「サムテ」あなたの健康にという意味合いの言葉だという。パリでは親に干渉されるのが嫌で家を出て一人暮らしをしていることや、留学したベトナムがあまり清潔とは言えない環境だったことなどを、車を運転しながらふたりで話したりもした。
今考えるとどうやって話していたのか不思議だ。到底超えることのできない言葉の壁がそびえ立っているように思う。
しかしイザベルはバースディカードにかいてくれた。
I hope to become a wife and a mother like you.
言葉の壁による勘違いは数々あるかと思うが、イザベルがとてもいい子だということに間違いはない。

イザベルがプレゼントしてくれたバースディカードには 
リビングで過ごすわたしの絵が描かれていた
ダイエットビールの絵も……


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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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