はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ジンクス追加事項

雨の土曜日。わたし達は迷っていた。
首位マリノスとの試合だということもあり、BSで全国放送する。甲府中銀スタジアムは、屋根はもちろんないのだが、傘をさすのは禁止。後ろの人の観戦の邪魔になるからだ。
「雨に濡れながらスタジアムで観るか、ワインでも飲みつつテレビで観るか」
それはもう、家で観る方が、断然魅力的である。

だが午後になると雨は上がり、どんよりとした雲は空を覆ってはいるが、明るくもなってきた。夫のチームメイト、サトリックからメールがある。
「行くんですか? 行かないんですか?」
「行くか」と、夫。「やっぱ、行くか」と、わたし。
サトリックを韮崎で拾い、高速を飛ばした。メインスタンドのアウェイ側に座ると、否が応でもマリノスの統率の取れた整然とした応援の声が、音が耳に入ってくる。首位争いをするチームは違うなと思わせる応援だ。

わたしはサトリックに生ビールを手渡し、ふたり深くうなずき乾杯した。わたしがスタジアムで生ビールを飲むと負けないという不敗神話は崩れたものの、新しく発見したジンクス「ヴァンフォーレの試合の日には、チキンは食べない」を守り続けて以来負けていなかったのだ。サトリックと観に行った鹿島戦は、ふたり生ビールを2杯ずつ飲み3-0で完勝。ここでわたし達がビールを飲まずに負けたら後悔も大きい。そんな思いを込めた乾杯だった。
しかし前節清水戦は、いいところなく負けている。その試合について、わたしは夫にも話していない、ある思いを抱いていた。

甲府は強かった。ニュースや新聞で、何と言われようとも、観た人にはマリノスを圧倒していたのがわかるはずだ。0-0で分けたが最後の最後まで目を離せない、ありきたりな表現を使えば手に汗握る試合だった。貴重な勝点1だ。
「新たな不敗神話だね」と、わたし。
「サトリックとふたりで、ビールを飲むと負けないってこと?」運転手の夫。
「清水戦は、前日に鶏たたき鍋を食べたのが敗因だよ。これからは金曜も、絶対チキンは食べない」
わたしの新たな誓いに苦笑するサトリックと、ひとりいつもビールなしで観戦する夫と共に、意気揚々と駐車場までの道のりを歩いたのだった。
(注)「サトリック」とは、わたしが勝手に付けたニックネームです。

鶏たたき鍋の作り方。濃いめに味付けした出汁に牛蒡を入れて煮ます。

鶏ひき肉には味付けせず、葱と卵を混ぜ、スプーンですくい落とします。
後の具材は、鍋に入れ煮えれば出来上がり。九条葱が美味でした。

日本酒が合いますね。これからの季節にピッタリの鍋始めでした。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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