はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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彼らの至福

びっきーの毛が抜けている。夏毛に生え変わるのだ。
夫はさっそくブラッシングし、抜けていく冬毛を落としてやっている。びっきーも気持ちいいのか、うっとりした表情。北海道犬の血が入っているらしい彼は、寒さには強いが暑さは苦手。今年もまたやってくるであろう猛暑は、彼にとっては受難である。
「全く、家族が3人いるのに、ブラッシングしようって人が他にいないとは」と、夫が嘆く。
「3分の2だから、66%ブラッシングなしだね」と、分析すると、夫に無言で睨まれた。しかし娘に聞くと、
「えーっ、わたしブラッシングしたよ」
そう言えばお腹の部分のみ毛が抜けて、まだらな感じになっていたが、あれは自然に抜けた訳ではなかったのか?
「お腹だけ、ブラッシングしたの?」と、恐る恐る聞いてみた。
「まさか。そんな訳ないでしょ。お腹はもともと抜けてたんだよ」
(50%ブラッシングあり、50%なしってことで)と、心の中でわたし。

ここで断りを入れておくが、わたしがブラッシングしないのは、夫のためである。彼はこういう作業が大好きなのだ。たとえば「風呂釜洗いのジャバ」であるとか「日焼けした肌の皮をむく」であるとか「子どもの耳掃除」であるとか。(末娘は、耳を押さえつつ、よく逃げまわっていた)
夏毛に生え変わる際のブラッシングは、彼らにとっての至福の時なのだ。

「お母さんは、絶対面倒くさいだけだと思うよ」と、夫。
「もちろんわかっていますよ、お父さん」と、びっきー。
「男同士だもんねー」「ですよねー」

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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