はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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シリアスな中にも笑いの要素を

伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』(双葉文庫)を読了した。
数日後<あのバス>に乗せられて、未知の恐ろしい場所に連れて行かれる星野一彦は、付き合っていた女性に別れを告げたいという最後の願いを聞き入れられた。5人と付き合っていたので、その女性は5人だ。星野は5人の女性と誠実に(?)付き合っていた。5人と平行して恋愛してるってだけでダメダメなやつなのに、読んでいるといい人と思わずにいられない不思議キャラ。

物語としてはそれだけでも印象的だが、更に印象的なのは星野を監視する大女、繭美の言動、行動だ。彼女の辞書には「常識」も「思いやり」もない。それを示すために辞書を持ち歩く。様々な言葉をマジックで乱暴に消した辞書。

わたしが辞書から消すとしたら、何て言葉だろう。「整理整頓」かな。あ、それはすでに消えている言葉か。
「本棚がぐちゃぐちゃで、よく平気でいられるね」とは、ファンクラブ(在籍2名)の仲間に何度も言われたことだ。彼女の本棚は美しく、作家50音順に並べてあるので、伊坂本は左端から綺麗に並んでいた。県外に出た彼女の本棚も、たぶん変わらず整理整頓されているのだろう。
夏にでも「伊坂が住む仙台に、牛タンを食べに行こう」と誘ってみよう。伊坂原作映画『アヒルと鴨のコインロッカー』では「それでさぁ、牛タン食べた?」と言うセリフが何度も使われていて、可笑しかった。駅周辺の喫茶店で、伊坂がパソコンを開き小説をかいているという噂もある。遠距離ファンクラブとなったが、これが別れという訳でもあるまい。
(ふたり東京に出かけた際、スイカロッカーを見つけ唖然としたことが、なつかしく思い起こされた。顔を見合わせて「コインでしょ、ロッカーは」「スイカロッカーじゃ、趣も何もない!」と言い合ったっけ)

太宰治の未完にして絶筆となった『グッド・バイ』へのオマージュ作品だという『バイバイ、ブラックバード』を読み、少しだけしんみりした心持ちになったが、文庫特典で掲載されていた伊坂のインタビューには、シリアスな話にも笑いの要素は必要だとかかれていた。
ここはにっこり笑って熱く誓おう。「牛タン」と。

仙台にいる上の娘のボーイフレンドが、写真を送ってくれました。
ゴールデンウィークに、彼を訪ねた娘いわく。
「牛タン分厚くて美味しくてさ、お土産に買おうと思って、忘れた。ははは」
「……」 牛タン、マジ分厚い!

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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