はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ポスティーノの贈り物

我が家のポストなのだが、彼らはどうも気に入ったようだ。
まずはミノムシ。移動してもらうのは致し方ないが、その蓑の作り方に魅かれた。同じ大きさの枝ではなく、大小様々にアートの如く選び並べている。
そして蝶。蝶というものは、ひらひらとあちらこちらに舞い、一所に居られない生き物だと思っていたのだが、彼(または彼女?)は違った。朝刊を取りに行った時から、夕刻のびっきーの散歩まで、ずっとポストの上に滞在していた。調べてみると『ヒオドシチョウ』という名の者らしい。ずっと閉じていた羽根を開くと、鮮やかなオレンジ色に驚かされた。そのオレンジが戦国時代の『緋縅(ひおどし)』と呼ばれた鎧に似ていたことから名付けられたそうだ。

彼らを驚かせないためなのか、その日、ポストへの配達はなかった。
「ポスティーノ?」空を見上げ、つぶやいた。
末娘が小学生の頃、一緒に見ていたアニメ『王ドロボウJING』に出て来たキャラクターの名だ。
登場人物にカクテルやお酒の名をつけたお洒落なそのアニメは、主人公ジンがドロボウであり、弱い者の味方であり、10代前半の子どもだった。敵はみな大人で、味方は皮肉ばかり言うキールという鳥だけだ。そのなかでポスティーノは唯一敵ではない大人だった。ジンを温かく見守っているようにも見えたが、助けたりはしない。彼の仕事は郵便を運ぶ。ザッツオール。ジンがそれで助けられたかどうかは彼には関係ない。届ける物があれば、過去にも未来にも、架空の世界にも彼は行く。何故なら郵便屋だから。

夕刻も6時過ぎ。ポストを見に行くと蝶はもう、いなかった。鮮やかなオレンジ色は、ポスティーノの贈り物だったのか。いつか大人になったらポスティーノになりたいな。神出鬼没でいつも大切なものを届けてくれる郵便屋さんに。

ミノムシアート。

『ヒオドシチョウ』ジミーな外向けの顔です。

でも、なかは! シャッター音でまた羽を閉じてしまいました。
よく見ると、外側のフリル(?)には瑠璃色の斑点が入っています。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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