はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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「幸せだ」って、言ってみませんか?

読み終えたばかりの中島京子『花桃実桃』(中公文庫)で、ストーリーとは関係なく、印象に残った言葉があった。以下、本文から。

人は思う以上に自分の言動に左右されるものである。須崎先輩が自分を「ワル」だと名乗ることによって、どんどん「ワル度」を増していったように。

妙に、納得した。
「楽しい ♪」と言えば、より楽しくなるように、「憎んでやる!」と言ってしまったら、より誰かへの憎しみが増すように、確かに「楽しい度」も「憎しみ度」も、言葉にした途端、それが見えない形を持ち始め、自分のなかに広がっていく気がする。そう考えると、負のオーラを持つ言葉は、口にしないでいられるなら、口にしない方がいいのではないか。
以前、友人に聞いた「言霊(ことだま)」の話を思い出す。口にした言葉は、勝手に魂を持って歩き出す、といったような話だ。

そこで「はい、はーい!」左手くんが手を挙げた。
「でもさ、痛いって言葉にすることで、楽になることもあるよね」
「うんうん。言えてる」右手くんも、同意する。
確かに、1年前 frozen shoulder(五十肩)を患った右手くんは「痛いよー」と言うことで、その痛みを四方八方に散らしていった感がある。
「痛みや苦しみは、言葉にすることも大切だと思う」と、右手くん。
「ただそれは、痛い、苦しいって言葉よりももっと重みを持った痛みや苦しみの場合に限るんじゃないかな」と、左手くん。
「そうだね。痛いの痛いの飛んでけ~で、飛んでっちゃう痛みなら、逆に痛くないって言葉に助けられるかも」と、右手くん。
「言葉って不思議だね」「口から出て消えていくだけのものではないんだね」

口を持たない右手くんと左手くんの、しみじみした会話に耳を傾けつつ、ひとり、今の気持ちを言葉にしてみた。
悩みも心配事も、多々あれど「わたし、今、幸せだ」
そして、言葉にして気づいた。かの名曲『幸せなら手をたたこう』は、小難しいことは何も言わずとも、口ずさめば「幸せ度」がアップする歌なのだと。
右手くんと左手くんが、顔を見合わせ(?)ぽんっと手をたたいた。

ウッドデッキで、けろも、幸せそうに笑っています。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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