はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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夜と酒と、埋められないと思っていた距離

サムと、飲みに出かけた。
1年前に2週間、我が家にステイしたオーストラリア男子、サムに、日本滞在中に会いたいと誘われ、上の娘と夫と4人で会う約束をしていたのだ。サムは、娘がワーキングホリデーで知り合った友人で、日本語を勉強中。今、東京にステイしている。そのサムから、たどたどしい日本語で、しかし意味はちゃんと判るメールをもらった。
「とさんとかさんといちゃんと、のみほうだいたべほうだい、いきたい!」
何故「父さんと母さん」が「とさんとかさん」で「飲み放題食べ放題」は正確にかけるのかと聞きたくなったが「いーよ」とひらかなで返事した。

魚が美味しい居酒屋で、にぎやかな時を過ごした。
「日本酒を冷やで」と注文するとクールだと、わたしはサムに教えたが「それは、クールでも何でもない」と、夫がツッコミを入れた。
これから始める旅の予定を、娘に聴き、 ―中国、フランス、イタリア、ポーランド、チェコなどを回り、そしてカナダへ行くらしいのだが― 「チェコって、人形が有名だよね?」と言うと「なかからいっぱい出てくるやつ?」と娘が言い「それは、ロシアのマトリョーシカでしょ!」と、みんなで笑った。
サムは、末娘がひとり暮らしを始め、びっきーが死んだことで、山梨でのひとりの時間が増え、淋しくないのかと、わたしを心配してくれていた。

10時を回った頃。ステイ先のお宅に迷惑なのではと切り上げようとすると、笑顔だったサムが、急に真剣な表情になり、言う。
「日本でいちばん、山梨が楽しかった。いっちゃんのお父さんとお母さんがとても好きだし、せっかく会えたんだから、もっと一緒に居たい。この時間が自分にとっては、とても大切なものだから」
そこまで言われて、無下に帰すわけにもいかない。新たに酒をオーダーし、恋愛について、夫婦について、家族についてなどなど、真剣に話した。

不思議なことが起こったのは、それからだった。
酔い始めると、サムのしゃべる言葉が判るようになった気がしてきたのだ。そして、それが日本語なのか英語なのかが、逆に判らなくなるような錯覚を起こした。全く英語が判らないわたしだが、夫がサムに話す英語が、理解できた。さらには、夫が日本語で言った言葉を英語で通訳し、サムに大笑いされた。
「いちばん英語がしゃべれないお母さんが、通訳!」
「ほんとだ!」と、自分でも気づかずに取った行動に驚いて、わたし。
「通訳するなよ!」と、笑いながら夫。「サム、ウケてる~」と、娘。
英語と日本語とは溶け合い、混ざり合い、埋められないと思っていた距離を、驚くほど近く、縮めていた。
そして「日本酒を冷やで」酌み交わしつつ、夜は更けていったのだった。

今が旬の岩牡蠣。新鮮でした。でもサムは、うーん・・・。

アユの塩焼き。「腹も美味しい!」と食べていると、
「川魚だから、内臓はやめなさい」と夫に注意されました。

刺し盛り、4人前。夫の行きつけの店ですが、
「いつもより豪華」だそうです。お腹いっぱい食べました。

〆のお茶漬けを、みんなで食べ回しました。サムいわく。
「お父さん、一口食べて、どうぞ。お母さん、一口食べて、どうぞ。
でも、いっちゃん、ずっーとひとりで、食べてる!」うん。確かに。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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