はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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恋は切なく

「オススメしないよ」末娘に、言われた。
何年か前に文庫化を機に、ふたりで読んだ中村航『100回泣くこと』(小学館文庫)が、昨年映画化され、それを観た彼女の感想だ。
「全く別物と、思った方がいいね。本を薦めた友人にも、評判よくなかった」
夢中になって読んだこともあり、落胆したのだろう。
「あの、歯磨きのシーンは?」「そんなの、あったっけ?」
「いちばん好きなシーンなんだよぉ」
「ブックとの出会いのエピソードがカットされてたのには、唖然としたけど」
それぞれに感じる印象深いシーンは違うし、映画を観てどう思うかも違うのだと思いつつ、反論もする。
「そんなにこき下ろされたら、観られないじゃん」
腹いせに村上春樹『ノルウェイの森』は、観ない方がいいよと嫌がらせした。

その中村航の新刊『デビクロくんの恋と魔法』(小学館)を、読んだ。
帯の「圧倒的な多幸感に包まれる」に魅かれたのだ。ハッピーエンドの恋愛小説が読みたい気分だったのもあり、末娘が冷静に「出版と同時に映画化が決まってるし、映像向けな雰囲気感じた」との感想を漏らしたのもあり。

読みながら、そして読み終えて「恋するって切ないよなぁ」と、胸がきゅーんと切なくなった。切なくなりつつ、時には声を出して笑った。恋する切なさに包まれるものの滑稽さは、年齢問わず永遠である。そんな抜粋したい文章が、数々あれど、どれも抜粋したら判らないだろうと思われるのが、中村航だ。

千葉県流山市では、恋愛中の証にと『恋届』をまるで『婚姻届』の如く役所に提出する企画が始まったとテレビのニュースで観た。
「結婚しててもわたし夫に恋してますって『恋届』出していいのかな? で終焉を迎えたら、夫との恋終わりましたって出したりとか」
夫相手にジョークを飛ばし、失笑を買う。なんでも、若者の結婚離れや、少子化への問題提起もあり、始めた企画だとか。
「恋ってさぁ、もっとさぁ」何か違うよなぁと、ひとりごちるのだった。

ショッキングピンクが効いていますね。帯が素敵だと嬉しくなります。
  
主人公の書店員、光は、いつか自分の絵本を創りたいと思っています。
時々デビクロくんに変身し『デビクロ通信』を様々な場所に配る変な奴、
でもあります。『デビクロ通信』ポストに入ってたらいいのになぁ。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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