はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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校長先生のお話

先月、思わぬ大雪の際、小中学校の先生方が、学校周辺を雪かきしていた。
「先生方も、たいへんだ」頭が下がる思いで、ゆっくり車を走らせた。
「あ、校長先生まで。多分、役員さん達も駆り出されてるんだろうなぁ」
大人になると、先生の大変さも判る。そして子どもの頃の自分は、じつに呑気で自分中心に生きていたのだなぁとも判る。

その呑気で自分中心な子どもに言わせれば、校長先生のお話というものは、長く退屈で眠いものだとの前提の上に成り立っているものだった。
最近のことは知らないが、26歳の息子が小学生だった頃も同様に感じたらしく、真面目な顔で『校長先生のお話を乗り切る方法』を教えてくれたっけ。

「まず、頭のなかに50音のあいうえお表を、思い浮かべる」
小学生の息子の話を熱心に聞きつつ、母は、あいうえお表を思い浮かべた。
「今日のテーマを決める。例えば、食べ物」「うん、食べ物ね」
「『あ』から順番に、頭にその字がつく食べ物を、思い浮かべる」
なるほど、なるほど、とやってみる。
あ、アンパン。い、石焼き芋。調子よく進む。
「50音が終わるまでには、校長先生の話も大抵終わってるんだ」
「ほーう。素晴らしい!」
「でも、では次に、ご来賓の皆様から、とかいう時には二巡目に入るけど」
子どもって、どんな状況でも遊びに変えちゃうんだなと感心した。

しかしその遊びも、大人がやると、ままならない。
う、うに丼。うに丼と言えば、今じゃあまちゃんだけど、昔、釧路の和商市場でたらふく食べたなぁ。え、エビフライ。揚げたてのエビフライって、ジューシーで美味しいよなぁ。タルタルソースがまた、美味しいんだよなぁ。でも作るのけっこう手間なのよ。などと、横道にそれる。横道にそれて、あれ、次はなんだっけ? タルタルソースだから、た、ち、チーズ。などと思ってしまい、まだ、あ行終わってないじゃん、と自分でツッコミを入れる。エビフライ、い、石焼き芋? ありゃりゃ、しりとりじゃないって。

息子の頭のなかにある、きちんと整列したあいうえお表は、わたしのなかでは、ぐにゃりと曲がったり、サボっている文字があちこちに穴をあけたり、こっそりとりかえっこしたりしているようだ。校庭で整然と整列した子ども達と、あっちこっちふらふらしている子ども達の対比の図に可笑しくなる。

ところで、最近では校長先生のお話は、どうなんだろうか。
「待ってました!」という掛け声と共に、口笛が鳴り響き、紙テープが紙ふぶき入りで飛ぶほど、面白くなっていると、いいんだけどなぁ。

まだ雪が残る、明野中学校の校庭。周囲に植えられた木は桜です。
町には、小学校も中学校もひとつずつ。40人ほどの学年は9年間一緒です。
上の娘は、不器用で校則が守れず、よく先生とぶつかっていたなぁ。
今となれば笑い話ですが、その時は親も子も真剣でした。

桜の蕾は、まだ硬く閉じています。
入学式の頃には、毎年咲くけど、今年はどうかなぁ。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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