はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ゴーヤの神様

近所の農家の方にゴーヤをいただいた。真っ白いゴーヤだ。
「初めて見ました! きれいですね」と言うと、
「苦みは少ないらしいよ」と嬉しそうに手渡してくれた。
きくらげさんも切り取ったところがふたたび育っていたので、昨夜はこの夏2回目のゴーヤチャンプルーにした。少ないどころか苦みもしっかり味わえて、とても美味しいゴーヤだった。
 
白い猿や蛇などは神の化身だとの言い伝えもあるが、白いゴーヤも何か神々しく輝いていた。わたしは何も信仰してはいないが、苦しいときの神頼みはよくする。そんな時目をつぶると真っ白く輝いたゴーヤを思い描いてしまいそうなほどインパクトが強かった。
 
川上弘美の大好きな連作短編集に『神様』(中公文庫)がある。
「熊にさそわれて散歩に出る。川原に行くのである」という魅力的な出だしで始まるこの小説。主人公の女性は同じマンションに越してきた熊と親しくなる。熊だから人間の中での生活にはいろいろとあるのだろう。親しく接してくれる主人公に感謝し温かい気持ちを持つようになる。彼女も人の世の生きづらさを感じていたこともあり、友人として熊に誠意をもって接する。
「熊の神様のお恵みがあなたの上にも降り注ぎますように」
初めての散歩の後熊は言った。ずっと覚えていた彼女は別れの間際に聞く。
「熊の神様ってどんな神様なの?」
「熊の神様はね、熊に似たものですよ。人の神様は人に似たものでしょう?」
優しく問いかけるように言う熊は、生きる世界が違うのだということを伝えたかったのだと思う。
 
ごつごつした白いゴーヤはわたしとは似ていないけれど、わたしの心のかたちと似ているかもしれない。

いただく農家さんによって大きさもかたちもいろいろ

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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