はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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オリーブだけのマティーニ

「はんぺんのないおでんなんて、おでんじゃない」と言う娘の発言を聞いて、昔彼女がよく引用したアニメのセリフを思い出した。
「何とかのない何とかなんて、オリーブだけのマティーニみたいなものだ」
マティーニを飲んだことのない中学生の彼女が言うのがわたし的にはとても可愛らしく、ふたりの間でしばらく流行った。「オリーブのないマティーニ」ではなく「オリーブだけのマティーニ」と言うところがいい。洒落が効いている。雰囲気だけでもお裾分けしようと思い、夫と飲みに行ったときに、マティーニの写真を娘にケータイメールで送ったりもした。
 
普段はビール(のどごし生はビールではありませんね)しか飲まないわたしだが、食事の後にゆっくりバーで飲むのだってもちろん嫌いじゃない。
しばらくギムレットにハマり、機会があるたびにギムレットを飲んで飲み比べた。きっかけは村上春樹が訳したレイモンド・チャンドラーの『ロンググッドバイ』(早川書房)。この小説には有名なセリフがある。
「ギムレットを飲むには、少し早すぎるね」
このジンとライムジュースのカクテルが、物語の重要な役割を果たしている。
私立探偵フィリップ・マーロウが活躍するハードボイルドの1作目だ。
村上春樹はあとがきでこうかいている。
「寡黙でタフで頑固で機知に富み孤独でやくざでロマンティックなマーロウ」好きにならざるを得ない探偵だ。
 
けれど最近のお気に入りはマティーニ。きっかけは北村薫の小説『飲めば都』(新潮社)。文芸編集者の都は本も好きだが酒も大好き。仕事も精一杯やるが酒も精一杯飲む。飲んでは失敗する。しかし酒好きの周りの人の目は彼女に優しい。この本に「通はマティーニから」ってセリフが出てきた。それからわたしは、またあちこちでマティーニを飲みたくなったわけだ。
こうしてビールを飲みながら本を読み、本に影響されてまた酒を飲む。それにしてもマティーニもギムレットも強い酒だ。ビールのようにくいくい飲んではいけない。……との夫の注意と心配を受け流しつつ、そろそろまた素敵なバーに飲みに行きたくなっちゃったなぁと5年前新刊で買った分厚い『ロンググッドバイ』のページを秋の夜長にめくったりしている。         

娘にお裾分けで送った昔の写真
オリーブがとてもやわらかくまろやかなマティーニでした

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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