はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『円卓』

リズムが、頭から離れない。
西加奈子『円卓』(文春文庫)を、読んだ。その釣りたての魚のようにピチピチ飛び跳ねる言葉のリズムが、頭のなかをぐるぐる回っているのである。渦原(うずはら)家の円卓のように。
主人公は、こっこ。小学三年生。祖父母と両親、三つ子で中2の姉達と、8人暮らし。その狭い団地の居間に置かれた円卓の描写が、以下。

渦原家のテーブルは、潰れた駅前の中華料理屋「大陸」からもらってきた、円卓。とても大きいから、居間のほとんどを、占拠している。大家族にはとても便利なテーブルなのだが、六畳間の畳の上では、やはり圧巻である、真紅だ。

体言止めを要所要所に効かせた、ガツンとパンチのある文章で、小説全体に統一された心地よいリズムを創り上げている。
さてこっこは、家族に対し不満を訴えはしないまでも、胸のなかには渦巻いているものが多くあった。以下。

こっこ、こっこ、こっこ。にこにこと嬉しそうな三つの、同じ顔。
(凡人が! 三つ子に甘んじやがって!)
だが実際、理子が髪をとかす手は優しく、眞子のくれるチョコレートがついたドーナツ甘く、朋美が縫ってくれるピンクの糸は、可愛い。
こっこは、三つ子に囲まれて眠る。こっこは、孤独が欲しい。三つ子の妹でもない、誰でもない「こっこ」になりたい。

クラスメイト達も、個性的だ。幼馴染みで同じ団地に住み、吃音でしゃべる男子ぽっさん。大人っぽい香田めぐみさん。ベトナム人のゴックん。学級委員の朴くん。授業中いつも紙を小さく折りたたんでいる女子、幹成海、などなど。そしてもちろん、こっこと家族の物語だ。9歳の、子どもから脱皮する瞬間を、描いている。担任のジビキは、夏休み明けの子ども達を見て思う。以下。

子供らが向かうのは、自分と同じ死であるはずなのに、彼らはまったく違う意思を持って、違う目的に歩いていくように思える。その行軍に、すでに成人の自分だけは、混ざれないのだ。彼らは彼らのまま、凶暴に成長してゆく。

この小説、電車のなかでは読まない方が、身のためかもしれない。笑いが止まらなくなる可能性あり、危険だ。

芦田愛奈ちゃん主演、行定勲監督で、映画は6月21日公開予定です。
ジャポニカ学習帳が、小説のなかでは鍵になる小道具なのですが、
お目当ての自由帳は、キャラクターものしか売っていませんでした。

今では、様々なメーカーから出しているんですね。

漢字練習帳を購入。友人とんぼちゃんの勧めで、自分流いろはがるたを、
作ってみることに。テーマは「好きなもの」にしました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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