はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『ヘヴン』

川上未映子『ヘヴン』(講談社文庫)を、読んだ。
学校で、日常的に暴力を受け続けている、14歳の僕のふで箱に、ある日手紙が入っていた。「わたしたちは、仲間です」
それは、同じクラスで女生徒達から苛めを受け続けている女子、コジマからだった。ふたりは、ひっそりと手紙のやり取りをするようになり、学校ではない場所で会うようになる。
しかし、恐怖で眠れなくなるほどの酷い暴力を受けてから、僕は、コジマと会うことも、手紙の返事をかくこともできなくなっていく。以下本文から。

「子どものころさ、悪いことをしたら地獄に落ちるとかそういうこと言われただろ?」と百瀬は言った。
「そんなもの、ないからわざわざ作ってるんじゃないか。なんだってそうさ。意味なんてどこにもないから、捏造する必要があるんじゃないか」
と百瀬は笑った。
「弱いやつらは本当のことには耐えられないんだよ。苦しみとか悲しみとかに、それこそ人生なんてものにそもそも意味がないなんてそんなあたりまえのことにも耐えられないんだよ」
「誰に、……そんなことがわかるんだ」僕は声をしぼるように言った。
「ふつうの頭を持ってたら誰にだってわかるさ」と百瀬は笑いながら言った。
「地獄があるとしたらここだし、天国があるとしたらそれもここだよ。ここがすべてだ。そんなことにはなんの意味もない。そして僕はそれが楽しくて仕方がない」

読んでいて、鉛でも飲みこんでしまったかのように苦しかった。だが、最後まで読まずには、いられなかった。
読み終えることができたのは、主人公の僕が持つ、心の温かさを、常に感じられたからだと思う。コジマに対して、また、義理の母親に対して。
苛めを中心に据えているが、人が生きることの意味を問うている小説だ。
丸かったはずの心に、いつしかひびが入り、欠けて角ができていく。読みながら、忘れていた自分の心の尖った部分に、触れる瞬間を、何度も感じた。

『すべて真夜中の恋人たち』の広告が、入っていました。
川上未映子、意志の強そうな、綺麗な顔をした人ですね。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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