はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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「まったくきみ達ときたら」

夫の口癖のひとつに「まったくきみ達ときたら」というのがある。それはだいたい「よくそんなくだらないことをべらべらとしゃべり続けられるね」と続く。遠まわしにうるさいと言っている訳だ。
反抗期の子どもに対し、大切にしてきた母の心得が2つある。
美味しい料理を作ることと、共にくだらないおしゃべりをして笑うこと。だいだいこの2つができていれば、反抗期も難なくやり過ごせる。
学校のことなど話さなくていい。テレビや本、ダイエットにお菓子作り、腹の探り合いなどなくただ楽しくしゃべって笑う。そうして毎日しゃべっていれば、いざ何か心配事があったときにも話しやすくなるというものだ。
心得を大切にし、わたしはもう反抗期も過ぎた娘達ともよくしゃべる。あきれるほどくだらないおしゃべりで盛り上がる。で、夫の口癖の出番となるのだ。
 
その口癖がこのあいだ、娘の口をついて出たという。いきさつはというと。
「恩田陸って女だったの?」と新聞を読む夫。
「知らなかったの?」とわたし。居間での会話だ。
「ずっと男だと思ってた」と新聞の写真を見ながら夫。
それを2階の部屋で娘は聞いていたそうだ。居間の吹き抜けのちょうど上が彼女の部屋になっていて会話は常に筒抜けだ。
「生まれた時から女ですよ、恩田さんは」
作家恩田陸ファンの彼女の本棚には約20冊もの恩田文庫が並んでいる。
「何冊か読んだよね?」とわたし。「何読んだか忘れたな」と夫。
「水路がある町の橋の上で男が死んでるって話読んでたじゃん」
「ああ、あれね。タイトル忘れたけど読んだな。」
「それは『きのうの世界』(講談社文庫)だっつーの」
2階でイライラしながらも聞いている娘。
「それからほら『上と下』」「あ『上と下』ね。うん、読んだ読んだ」
「だからそれは『上と外』(幻冬舎文庫)だよ! 下じゃない、下じゃあ! まったくきみ達ときたら!」
とっさに夫の口癖が出てしまったのだと、2日ののち娘は語った。

アジアン雑貨屋で見つけたお気に入りの猫のブックエンド『上と下』

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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