はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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小さな小さじくんの大きな冒険

小さじくんが行方不明だ。あちこち探したが見つからない。物を無くすのは得意だが悲しい。小さじくんがいないと、どうにもうまくいかない。小さじくんとは5ccの計量スプーンのことだ。
わたしはいまだに料理の味つけを目分量ではできない。味つけは大さじ母さんと小さじくん頼みだ。高校生の頃、土井勝の料理本に出会い自分で作り始め、ああ親子丼って、そして鶏の照り焼きも家で作れるんだと感動した。母は余り料理が得意ではなかった。それ以来我が家の日本料理のほとんどが土井勝の味つけなのだ。
冷蔵庫には、大根の煮物、醤油大さじいくつ、砂糖大さじいくつなど、ワードで打ってプリントした簡単レシピ表が貼ってある。その通りに味つけすることで我が家の味になる。目分量や味見で作るその家の味もあると思うが、我が家の味は大さじ小さじにかかっている。ちなみに珈琲豆はスケールでグラムを計るしパスタも同じくだ。だいたいこんなもんという感覚が不安で、それは自分を信用していない証拠でもある。でもこんな数字本位の我が家の味だってあってもいいんじゃないかなって思う。これはデジタル化ではないよな、アナログの範疇だよなって。
すき焼きなどの味つけは夫の出番となり、豪快に醤油を回しいれる姿に惚れ惚れしたりする。その夫もわたしの料理に文句はないようだ。
「小さじくんがいないんだよ」
水菜と鶏肉の煮びたしを作りつつ、うなだれるわたし。
「あ、このあいだケーキ焼くときに使った!」と娘。
「小さじくんは何処!」ふたりで探し回るが見つからない。
「顔に塩を付けた、りりしい姿が脳裏をよぎるよ」
「小さじくんはソルト担当だったもんね」
小さじくーん、カンバッーク!

小さじくんの帰りを待つ大さじ母さん達

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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