はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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パーンという音が空に響くたび

銃を持った男を見た。伊坂幸太郎の小説ではない。嘘偽りのない日常。いつも娘を送り迎えする道でのことだ。
猟銃かと思ったが全体に黒く太い。マシンガン? まさか。車の窓を開け聞いてみた。「熊ですか?」「いや。猿だ」
ホッとした。猿ならあれは空気銃だろう。脅しに使うだけかもしれない。
 
ゴーヤを切りに行った農家さんで猿の被害の深刻さを聞いていたので、空気銃も致し方ないのかなと思う。農家さんも必死なのだ。南瓜どころかゴーヤまで採っていくと言う。
「あんな苦げえもん、生で食うんズラ?」とあきれていた。
しかしおそらく猿も必死なのだ。町内だけ見ても、山の開拓が進み森は拓かれ、農地や宅地が広がっている。山に暮らしていた猿が下りてこなくてはならない状況を作っているのは人間だ。
「ゴーヤは苦いよ」という子猿に母さん猿が言っているかもしれない。
「好き嫌いしないで食べないと、食べるものないわよ」
「やだよやだよ。お腹減ったよ」「わがまま言わないの」
子猿も母さん猿も切ないだろうになぁ。
しかし、そういう我が家も赤松の林を切り、家を建てた。残った隣の林には、今も何かしら動物の気配を感じる。この夏にはキジがヒナを育てていたようだ。誰かを追い出して、わたし達だってここに住んでいるのかもしれない。
 
パーンという音が空に響くたびに、あれは空気銃だろうか、それとも畑に設置された空砲だろうかと考える。考えることくらいしか、まずわたしにはできないから考えるだけ考えてみる。子猿を抱く母さん猿の姿を思いつつ。作物を取られた農家さんの憤りにうなずきつつ。豊かな町にしようと森を開拓する町の未来に不安を抱きつつ。赤松の林を吹き抜ける風を心地よく肌に感じ、ここに住まわせてもらっていることの幸せをかみしめつつ。

4・5年前まで猟銃を持つ人々が家の前をうろついていた
この辺りも家が増えハンターもさらに山奥へと移動して行ったようだ

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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