はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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雪の落葉松林で

日曜。先週の雪がまだ残る、同じ北杜市は小淵沢まで、ドライブした。
「雪のなかで、石仏さんを撮りたい」と、夫に誘われたのだ。
彼は3年前、武田信玄が信濃に攻め入るために作ったというまっすぐな道「棒道」を歩こうというイベント『棒道ウォーク』に参加しており、その時に出会った石仏がお目当てだったようだ。

その石仏がいる場所は、松林だった。
標高が高いだけあり雪は残っていたが、風のない穏やかな正午。明野よりも寒いとは感じなかった。夫は、車から降りるなりカメラに集中している。邪魔にならないよう、わたしはゆっくりと雪道を歩いた。

我が家の周辺と違うのは、雪の量だけではなく、同じ松林でも赤松ではないということが判る。赤松よりは、ずいぶんと小ぶりのマツボックリが、枝についたまま落ちていたからだ。落葉針葉樹の落葉松(からまつ)だそうだ。見上げると青空のなか、マツボックリたちの影が、小さく小さく見える。その下には、雪をかぶった石。雪が解けだしたところには、落ちた松葉に守られた苔が、瑞々しく光っている。

のんびりとした気持ちで歩くと、枝に巻きついたまま枯れた蔓に、種を落としたあとの実がドライフラワーのように綺麗に乾燥している姿に目を魅かれた。
そして、それを見て、突然陽が射し込んできたかのように、不意に思った。
雪のなかの、この松林には、春待つ命があふれているのだ、と。そう思った途端、何か判らぬ乾燥した蔓の実が、マツボックリが、落葉松の木肌が、陽を浴びる苔が、林全体が、美しく見えてきた。
「ああ、今、森林浴してる」
しばしの間、身体じゅうで、ただ静かに、そこにあふれる生命を感じていた。

『棒道(ぼうみち)』は、落葉松林を横切っているそうです。

松の太くて背の高い影が、雪の上に伸びていました。

足もとには、たくさん落葉松のマツボックリが落ちていました。
小さくてフリルのようにウエーブが、かかっています。

ガク紫陽花も、そのままの姿で残っていました。

種を落とした蔓の実です。何の蔓でしょうか。

苔は陽にあたり、生命の輝きを放っていました。

動物の足跡もありました。7~8㎝。鹿、でしょうか。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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