はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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無口な冬の庭の住人達

木枯らしも、何処かで昼寝でもしているのかと思うほど、静かな週末。
夫と薪を運び、その後のんびりと庭を歩いた。

物言わぬ植物達をじっと見つめていると、童話などに登場するおしゃべりな花や木を思い出す。『不思議の国のアリス』もそうだが、宮沢賢治の『ひのきとひなげし』のひなげし達も、小さな花やら、黒斑が入ったもの、一番美しいと羨まれるひなげしなど、花畑は彼女達の声でにぎやかだった。

「おまえ達はみんなまっ赤な帆船でね、いまが嵐のとこなんだ」
けやきの木は、ひなげしを愛しいものを眺めるように見下ろしている。
「あたしら、帆船やなんかじゃないわ。背だけ高くて、ばかあなひのき」
だがそのひなげし達は、美しくなりスターになりたいと自分のことばかり。
「風がいっそう激しくなってひのきもまるで青黒馬(あおうま)の尻尾のよう、ひなげしどもはみな熱病にかかったよう、てんでに何かうわ言を、南の風に云ったのですが風はてんから相手にせずどしどし向うへ駆け抜けます」
青黒馬の尻尾とのひのきの描写が素敵で、ひなげしを熱病というのも麻薬であるアヘンを作る花だとの伏線に思え面白く、宮沢賢治の魅力を感じる掌編だ。
(宮沢賢治を「賢治」と呼ぶほどのファンではありませんが)

冬の庭におしゃべりなひなげしは不在だが、ふと見せる植物の表情に、ああ、生きているんだなと思う瞬間はある。春のような日差しのなか、ほんの少しだけ伸びをしたような、ホッとして欠伸をしたかのような表情が見え隠れするのを感じ、無口な彼らの声を聞きとれそうな気配に、じっと耳を澄ませた。

枯葉で埋もれた足元で、ドングリが根付いていました。可愛い!
  
見上げると夏には昆虫酒場だったクヌギも、店を閉めています。
                 山桜の木肌は、とっても綺麗。
  
『ハーブ園』?のローズマリーは木枯らしにも負けていません。
     ニラは、朝顔のような種を落とした後の形が、花のよう。
  
ヒイラギは緑を失わず、    薔薇は、棘を北風で磨いています。
  
ヘクソカズラの実。実も花も可愛いのに、哀れ過ぎるネーミング。
それだけに、強く生息しているのかも知れません。 
  テッポウユリは種をすっかり飛ばし、ドライフラワー状態です。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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