はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ゆっくりと訪ねたい地

このところ、東京に出かける度に帰りのあずさが遅れる。
あずさが遅れるといやーな感じがする。失敗したことがあるのだ。うっかり眠って乗り過ごした。それも遥か松本まで。
2年ほど前のこと。飯田橋で2時間ほど友人達と愉快に飲み、
「お先に。8時のあずさで帰るから」きちんとお金を払って店を出た。いいお酒だった。ところが新宿に着くと、あずさが動いていなかった。鹿を轢き1時間遅れだそうだ。新宿の駅中で1時間待つのもばかばかしいので外に出た。西口の立ち食い蕎麦屋が夕方には立ち飲み屋になる。
「ビールでも飲みながら待つか」
ゆっくりと生ビールを2杯空けた。隣には枝豆をつまみながら上司とサワーを飲むサラリーマンや、ビールを片手にから揚げを頼む若者がいた。酔っているという自覚はなく、娘に翌日のお弁当用のパンを買い、きちんと1時間後に遅れてやって来たあずさに乗った。指定席に座り「遅くなっちゃったな」と思った時には眠っていた。だいじょうぶ。甲府に着く10分前にアラームをかけてある。準備は万全だ。
しかしその後自分が取った行動は、とても疑問が残るものとなる。甲府で鳴ったアラームを車掌に注意され「すみません」と謝りアラームを止め、ふたたび眠った。次に起こされたのは松本だった。新宿から昏々と眠ること3時間。甲府までが1時間半だから倍の距離を乗り過ごしたことになる。
「次の鈍行なら無料で戻れますが今日はもう電車がありません」JR職員は慣れた調子で明日朝一番の鈍行ならこの切符で乗れると言った。駅前の東横インでは「乗り過ごしですね。五千円でいいです」乗り過ごし客一まとめ的な扱い。もちろんわたしも乗り過ごし客なので文句は言えない。
娘達に電話してあきれられ、翌日妹を学校の時間に駅まで送ってくれと上の娘に頼む。始発で鈍行に乗り、娘が使う無人駅で待った。パンを渡し謝る。
「お父さんに言うの? 言わないの?」
顔を見るなり上の娘が畳み掛けるように言う。
「ギャグにするしかないね」と答え夫にメールすると、
「しばらく謹慎のこと」と当然のごとく冷たい返事。
松本の滞在時間は5時間弱。できればゆっくりと訪ねたい地である。
娘が通う無人駅

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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