はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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世界は嘘で回ってる

嘘をついた。南アルプスの彼にだ。
酔って頭をぶつけたことを言えなかった。かっこ悪い。ただそれだけの理由だ。しかし頭をぶつけたことを言わない訳にはいかない。贔屓にしているマッサージ師の彼はいつも最後に頭を指圧してくれる。
「立ち上がった時に、出っ張りがあるのに気がつかなくて」
「立ち上がる時、加減する人はいないっすからね」
彼は優しく笑った。そしてむち打ちの症状が出ていないか注意しながらマッサージしてくれた。とても楽になった。
 
つまらないことで人は嘘をつく。他愛のない、つかなくてもいい嘘をつく。嘘を重ねて生きている。彼は、雨の中拾った子猫が、来月出産予定の奥さんの大きなお腹で眠るのが好きなことや、子猫のために、ずっと飼っている4匹の猫の小屋を作ったことなどをにこやかに話しながらマッサージしてくれた。その中には嘘は無いように思えた。
小説や映画では、誰かが言った一言が分かれ道になり世界が変わってしまうというストーリーがあったりするが、わたしがついた小さな嘘は、世界の歯車をほんの少しでも狂わせただろうか。南アルプスの彼が、新しく作った猫の小屋でふとわたしが言っていたことを思い出し、棚に頭をぶつけずに済んだというストーリーも考えられる。しかしその逆も考えられる。酔ってぶつけたと言っていたら、彼はその日は酒を飲まずそれがいい方向に傾いたかもしれない。
しかしまあ、このくらいの小さな嘘は日々そこ此処に転がっているのだ。世界の歯車は小さな嘘で回ってると言ってもいいくらいだ。
 
週末、夫が壊れた引き戸を修理してくれた。壊して申し訳なかったなぁと思いつつ戸をきれいに拭いた。玄関が少し明るくなったような気がした。

引き戸が直って平穏を取り戻した玄関

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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