はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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テーブルの上の林檎

我が町、明野町は、昔から大根と林檎の村と呼ばれていたらしい。合併し北杜市に統合され、明野町と名をあらためたが、越して来た頃にはまだ村だった。

テーブルの上の林檎を見ると、思い出すことがある。
結婚した頃、東京は大田区に住んでいたのだが、子どもができ、近場のアパートを探して引っ越した。何しろ、住んでいたのは6畳一間で、さすがに子どもと3人では、暮らせないだろうということになったのだ。
そこで生まれたのが、今年27歳になる息子で、ちょうど隣の部屋でも、同い年の女の子が生まれ、仲よく遊ばせてもらった。アパートの前の通路は、車が入れない行き止まりで、そこでこぢんまりと遊ぶことも多く、お隣の奥さんと立ち話をしたりしながら、のんびりとした時間を過ごした。

息子が2歳くらいだっただろうか。日も暮れて、友達とバイバイした彼をひょいと抱き上げ、アパートの階段を上った。忙しくキッチンに立つと、息子は居間でおもちゃを出し始めたが、そのテーブルに、見覚えのない林檎があった。朝、夫を送り出す時には、なかったものだ。
林檎を買ったのなんていつだったのか思い出せないくらい前のこと。これは、いったい?と首を傾げるが、息子は言葉が遅く、彼に聞いても埒はあかない。
「ああ、林檎。抱っこした時に、おててに持たせたのよ。おすそわけ」
何のことはない。翌日、隣に住む彼女の種あかしを聞き、謎は解けたのだが。

その時に、思ったのだ。
「家族が増えるって、こういうことなのかも知れないなぁ」と。
ひとり暮らしをしていた頃は、小さな部屋の隅々まで、すべてを把握することができた。荷物も少なかった。結婚してふたりになり、荷物はそう多くはなかったが、すべてを把握することはできなくなった。そして、子どもが生まれ、こうして部屋のなかに自分の知らないことが、ひとつ、またひとつと増えていくのだと。それが、家族になるっていうことなのだ。

林檎の村の、もぎたての林檎は、甘酸っぱく瑞々しかった。

購入したのは『陽光』日本一日照時間が長い、明野に似合う名前ですね。
他に『王林』や『千秋(せんしゅう)』もありました。

もうすぐ出荷される『ふじ』冬の間、楽しめる品種です。

赤が濃いのは『新世界』という品種だそうです。たわわに実っていました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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