はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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始めよければ?

『終わりよければ、すべてよし』とは言うが、始まりも重要だ。
こと小説においての始まりは、その物語の半分を語るとも思えるほどに重要である。「つまらない」と本を閉じられてしまったら、いくら『終わりよく』ても、どうしようもない。そして、やはり始まりが決まってる小説は、終わりまでわくわくした気持ちを抱えつつ読めるものが多いと個人的には思っている。

例えば、伊坂幸太郎『重力ピエロ』(新潮社)
「春が二階から落ちてきた。私がそう言うと、聞いた相手は大抵、嫌な顔をする。気取った言い回しだと非難して来たり、奇をてらった比喩だと勘違いする。そうでなければ『四季は突然空から降ってくるものなんかじゃないよ』と哀れみの目で、教えてくれたりする。春は、弟の名前だ」
超かっこいい。洒落ている。マジ、しびれちゃう。素敵だ。

無論、伊坂は素敵だ。だが、わたしが現時点、一番好きだと思う小説の始まりは、川上弘美の短編集『神様』(中公文庫)に収められた『花野』だ。
「すすきやかるかやの繁る秋の野原を歩いていると、背中から声をかけられた。この時刻でこの場所ならばたぶんそうだと思っていたが、振り向くと、やはり叔父が立っていた。五年前に死んだ叔父である」
もう、これだけで「読んでよかった!」と思えるほどに、粋な始まりだ。驚きもあり、物語に吸い込まれるように読み進めずにはいられない魅力がある。

ところで『終わりよければ、すべてよし』というのは、日本の諺かと思えば、シェイクスピアの喜劇『All's Well That Ends Well』から来ていた。好きな人と結婚するために、手を尽くす女性のストーリーだ。なので、この『終わり』は結婚だ。うーむ。結婚こそ、始まりだと思うんだけどなぁ。
やっぱ、始まり、重要だよ。

もちろん、浅田真央ちゃんのフリーの演技は、初めから終わりまで、本当に素晴らしく、始まり終わり云々など忘れてしまうほどよかったけれど。

ようやく一部渇いたウッドデッキで、撮影しました。
ハードカバーの方は、タイトル文字がシルバー。
文庫の装幀では、虹色になっています。

『アヒルと鴨のコインロッカー』(東京創元社)の始まりは、
「腹を空かせて果物屋を襲う芸術家なら、まだ恰好がつくかもしれない
けれど、僕はモデルガンを握って、書店を見張っていた」
映画では、濱田岳くんが演じた、椎名の語りから始まっています。

「どうせなら雪かきも、遊びながら」と、夫が作った、かまくらもどき。

半分以上は、渇いてきました。板、腐らないといいけど。

八ヶ岳は、いつも雪乗っけてて肩こるだろうなぁ。
でも、これだけの大雪だったのに、あんまり変わらないような気が。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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