はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『家日和』

奥田英朗『家日和』(集英社文庫)を、読んだ。
5日前に読んだ『我が家の問題』と対になる短編集で、テーマは家族だ。『家日和』の方が先に刊行されていて、1話のみ同じ家族の話も収録されている。
『家日和』では、全編通じて、ありふれた毎日のなかに「夢中になれるもの」を見つけた人物が滑稽に描かれていた。

『サニーデイ』では、ネットオークションにハマった妻を。
『ここが青山』では、会社倒産後、家事育児に夢中になる夫を。
『家においでよ』では、妻に出て行かれ、自分の部屋を住み心地よくすることに楽しみを見つけた夫を。
『グループフルーツ・モンスター』では、内職の仕事を持ってくる男性社員が夢に出てくることに癒しを求める妻を。
『夫とカーテン』では、新しい事業を求めて転職を繰り返す夫を。
『妻と玄米御飯』では、ロハスに凝りだした妻を描いている。

夢中になれる、新しいこと。それを見つけた喜びは、判る。しかし、わたしの場合、いつも自分に、ストップをかけてしまう。そんなに夢中になっていいのか? との疑問をぶら下げつつ、適当に夢中になる。冷めた奴だよなぁと、自分でも思う。この小説に共感できるのは、その冷めた視点が、要所要所に出てくるところだ。以下『妻と玄米御飯』から。

康夫には、若い頃から天邪鬼なところがあった。社交が嫌いで、建前を好まない。流行は大抵疑ってかかる。作家になったのも、会社勤めが神経症になるほど辛くなり、一人でやれる仕事はないものかとたどり着いた末である。強固な主義主張はないが、好き嫌いははっきりしていた。愛するものはおとぼけユーモアで、近寄りたくないのは、ナルシシズムと冗談が通じない人たちだ。

主人公、康夫は、妻を含め、ロハスに夢中になる人達を、皮肉を込めたユーモア小説に描いてしまうのだが。

わたしは、康夫ほどは、冷めていないかも知れない。ロハスな人達に、ナルシシズムは感じない。ただ羨望の眼差しを向けるのみだ。夢中になることに、ストップをかけずにいられる人ってすごいよなぁ、と思うのだ。

家族というものを、俯瞰したようなイメージの表紙です。

集英社文庫は、ブックカバーをプレゼント中。

リバーシブルになっています。あと2種類ありました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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