はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『女性秘匿捜査官・原麻希 アゲハ』

『女性秘匿捜査官・原麻希 アゲハ』(宝島社文庫)を読んだ。
『私の結婚に関する予言38』で、日本ラブストーリー大賞・エンタテイメント特別賞受賞の吉川英梨描く警察小説シリーズ第1弾だ。

主人公は、警視庁の鑑識課に所属する原麻希。この家族が、いい味を出している。歳の離れた夫は、同じく警視庁勤務だが、めったに帰って来ない。娘の菜月7歳は、おしゃまで大人びていて母親似の推理眼を思わせる。そして夫の連れ子である健太25歳が、いい。母親を早くに亡くしてからは、帰らぬ父をひとり待つ日々に無口になる一方だった彼は、妹が生まれたことに飛び上るほど喜んだ。そして高校を卒業後、刑事の両親の代わりに、家事育児を一手に引き受ける。トップクラスの高校でトップの成績だったにもかかわらず。そんな健太が、菜月を甘やかし、可愛がる様は、微笑ましい限りだ。

シリーズ第1作目は、そんな家族のすれ違いと絆を、描いている。
健太と菜月が、アゲハと名乗る何者かに誘拐された。気が狂わんばかりに、ふたりを探す麻希は、熱血刑事と言うよりは、子どもを熱愛する母親だ。だが、誘拐されたはずの健太に、ある時点から容疑がかけられることとなる。動機は、ニートである生活への不安と継母との確執などとでっち上げられるが、麻希は、菜月を愛する健太を信じ、大きな闇に向かって行く。
もちろん、軸は推理劇のストーリー。驚きの結末あればこそ、斬新な形で描いた家族の様が生きてくるというものだろう。

子育て期に、やむなく退職したわたしは、健太のように家族を愛し子育てをサポートをしてくれる誰かがいたら、何か変わっていたかもなぁと、思わずにはいられない女性のひとりだと思う。それを受け止めつつ、生き方が多様化していくなか、職を持つ持たないで、人をきちんと見ずに、ニートなどと決めつける風習は、小説のなかだけではないのだろうと、あらためて考えさせられた。
第2弾は『スワン』楽しみだ。

紫がかったアゲハ蝶が、ビルの谷間を舞う表紙です。
アゲハとは、いったい何からとった偽名だったのでしょうか。

本との出会いもまた、不思議。伊坂幸太郎の短編が入ったアンソロジーに、
『ハラマキシリーズ』が収録されていて、それがおもしろくて。
「わたしをフルネームで呼ばないで!」とハラマキ巡査部長は言いますが。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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