はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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低音の魅力

「てっぺんかけたか てっぺんかけたか」
この季節、朝夕問わず、けたたましく鳴くのはホトトギスだ。頭痛がする時には、どうか鳴くのをやめてほしいと思うような高音である。
それとは対照的な低音が、このところ庭から響くことが多くなった。特に雨が降ったりやんだりしていた土曜、その声は、やはり朝夕問わず響いてきた。

「あれは、きみの友達が鳴いているの?」
夫に聞かれたが、わたしも鳴いているところは目撃したことがないので、何とも言えない。小さな身体で、鳥と大差ない大きな声を発することができるのかも疑問だ。その疑問を晴らすべく、そっと庭に出て探してみた。そして、声の主を見つけた。
わたしを見て、彼は鳴くのをやめたようだが、あきらかに今まで鳴いていたという顔をしている。顔にかいてあるので、否定しようがない。おはぎの餡子を口の周りにつけて、食べてないと言い張るようなものだからだ。
アマガエルの口の下には、鳴き袋が大きく膨らんでいたのだ。

鳴くところが見たかったので、鳴き真似をしてみた。しかし、彼は(鳴くのはオスだけなので、はっきりと彼と言える)眉をしかめ(眉があればの話だが)人間のメスはご無用とでも言うかのように、そっぽを向いてしまった。蛙が鳴くのは、大抵メスを呼んでいるときだそうだ。
低い声で鳴くのにも理由がある。身体が大きいほど声が低くなるので、出来る限り低く鳴き、大きく強いオスであることをアピールしているのだ。そして、鳴き袋が大きければ大きいほど、声は大きく遠くまで響くらしい。
「胸はって見栄はらず」とは、よく行くラーメン屋のモットーだが、アマガエルの世界では、見栄をはるのもまた、自らの子孫を残す術なのだ。

「がんばれ」小さく言い、部屋に戻った。
すると、夫が言った。「今鳴いてたね。鳴くところ、見られたの?」
「いや、それ、わたしの声だから。呼びかけたら、応えてくれるかと思って」
夫は、唖然とするばかりだ。
わたしは、と言えば「うーん、そんなに似ていたのかな。もしかしたら、メス蛙、呼べるようになるかも」と、一瞬考えたのだった。

鳴き袋、こんなに膨らませて鳴くんだね。鳴いてるところが見たいなぁ。

場所は、写真の真ん中。アイビーが絡んだコンクリの柱の上です。

朝から夕方まで、ずっとここに。土曜は、蛙的いい天気だったからね。
恋人(恋蛙?)見つかったかな。卵は田んぼまで行って生むのかな。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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