はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『蛇を踏む』

突然、訳もなく泣きたくなる時がある。
忙しい日が、続いたからか。暑さに、参っているからか。変な夢ばかり、見るからか。じゃが芋が、煮崩れたからか。夫との会話で、すれ違いがあったからか。キアゲハの幼虫が、忽然と姿を消したからか。
理由が何処にあるのか、自分でも判らない。
大人になったならば、こんな風に泣きたくなることなどないと、子どもの頃には思っていた。まだ、大人になりきれていないのかも知れないが、50歳を過ぎた今、そうであるなら、死ぬまでにきちんとした大人になれる確率は、かなり低いはずだ。

蛇を見たから、かも知れない。
朝一番にカブトムシが玄関をノックしたその日、同じく玄関の外を這う蛇を見た。薄茶色の細く小さい奴で、目が合ったが、不思議と恐いとも気味が悪いとも思わなかった。そして一瞬、踏んだらどうなるだろうかと考えた。
川上弘美の芥川賞受賞作『蛇を踏む』(文春文庫)を、思い出したのだ。
小説で蛇は「踏まれたらおしまいですね」と言い、人間(50歳くらいの女)に姿を変えた。そしてひとり暮らす主人公、ヒワ子の部屋に住みつくのだ。

心が弱っている時には、蛇と暮らすのもいいかなと、思えたりするものだ。
しかし、と思い留まった。ウッドデッキにも庭にも、あちらこちらにアマガエル、けろじがいる。いくら人の姿になったからと言って蛇は蛇。蛇のままならば、人の暮らしに入り込むことはなくとも、共に暮らすとなれば、けろじとの共存は難しいだろう。

「弱肉強食かぁ」
キアゲハの幼虫、パセリ達は、何者かに食べられたのだろうか。それとも何処かで、サナギになっているのだろうか。
ウッドデッキで暮らすけろじ達は、案外試行錯誤の末、外敵の少なさから、この場所に住みついたのかも知れない。
蛇は踏むと女になり、蛙はキスすれば王子様になる。そのモノ達との暮らしもまた、にぎやかそうではある。
蛇には、わたしの弱さが、見えていただろうか。

朝、玄関に来ていたカブトムシ。大きくて立派でした。

翌朝は、メスの姿も。大きさは、同じくらいです。

ルリボシカミキリ。今年よく見かけます。美しいです。

色を変えていた、けろじ。ウッドデッキに置いた夫の靴の上で。

葉っぱの上のけろじは、綺麗な緑色です。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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