はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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向日葵畑に消えた「my pleasure」

「my pleasure」という言葉が、好きだ。「thank you」と言われた時に返す「no problem」や「you are welcome」と同じく「どういたしまして」という時に使われるが、直訳すれば「わたしの喜びです」となる。「あなたが喜んでくれて嬉しい」という意味合いだろう。

以前、夫がイベントで講演をお願いしたアメリカの方に(その講演は素晴らしかったとのことだが)お礼を言うと、笑顔で「my pleasure」と返してくれたという。それを夫に聞き、知った言葉なのだが、電車で席を譲ったり、狭い通路で道を譲り合ったり、何ていうことのないシーンでも使われるらしい。
そんな英語の文化って、素敵だなと思う。

ところで、何年か前のこと。向日葵が咲くと思い出す、出来事がある。
買い物帰り、村道で信号待ちをしていると、前の車から70代前後の夫婦が降りて、わたしのところに来た。向日葵畑までの道を、教えてほしいという。
当然、道は知っているのだが、なにせ方向音痴のわたしである。道を教えるのは大の苦手。たいして遠回りでもないので、先に走って、ついて来てもらった。その方が、簡単だったからだ。
だが、ぶじ向日葵畑に着き「ここです」と言って帰ろうとすると、ご婦人が車から降りてきて、わたしに何かを手渡した。千円札だった。
「そんなつもりじゃ、ないですから!」戸惑うわたしに、ご婦人は無理やり千円札を押しつけるようにして頭を下げ、足早に車に戻って行った。
呆然自失。しばらく何が起こったのか、判らなかった。
わたしも、悪かったんだと思いはする。ただ道を教えられれば、気を使わせることもなかったのだ。しかし、それでもこれは違う、という気持ちばかりが膨らんでいった。「うちの村に、向日葵を見に来てくれて嬉しいです」そんなわたしの「my pleasure」は、千円札という形を拒み消えていったのだった。

我が家から車で走ること2分。朝9時。風が吹いて涼しかったです。

向日葵が揺れるほどの風では、ありませんでした。

平日でも夏休み。親子連れが、何組か、訪れていました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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