はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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蜂の巣を守らんとする夫と注射を痛くないと言う娘

軒下のキイロスズメバチの巣を、ヒヨドリがつつきに来た。
蜂の元気もなくなり、数も減った。天敵だという大スズメバチも見なくなった。夫は攻撃を仕掛けてくるものもいないのであれば軒下から降ろし保存しようと考えていたようだが、敵は思わぬところにいた。
憤慨する夫に「鳥は飛べるからねぇ」とわたし。
「地べたをはやくは走れないけどねぇ」と娘はクールに、金子みすずの『わたしと小鳥とすずと』を引用し「自然の摂理だよ」と言った。
「俺も自然の摂理のうちだ! あいつら、追っ払ってやる」
「そ、それは」「違うでしょう」
わたし達は顔を見合わせた。
そしてヒヨドリを追い払う夫を残し、ふたりでインフルエンザの予防接種に行った。道々、雪化粧した富士山がとても綺麗だったので、娘に言った。
「富士山、綺麗だねぇ」
すると娘は、一瞬躊躇して言った。
「いつも綺麗だと思えるお母さんがすごい」
考えてみれば、娘は5歳からこの町に住み、富士山と南アルプスと八ヶ岳を一望にできる小学校で6年間過ごしたのだ。山はただ山であって最初からそこにあるものなのだろう。
ここで共に12年暮らしてきたが、感じ方は違うんだなと考えさせられた。
注射を終え、帰ってくると夫が「痛かった?」と聞くので、
「痛かった!」とわたしが答えると同時に「ぜんぜん」と娘が答えた。
同じ注射を打っても、感じ方もリアクションも違うのだ。
蜂の巣を守らんとする夫と、注射を痛くないと言う娘。
「みんな違ってみんないいのかな」
娘にならい、金子みすずを引用しつつ考えるのだった。
富士山をケータイで撮るのはむずかしい!

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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