はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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明るく暖かい庭で

「灰が溜まりました」
電話をすると、すぐに軽トラが玄関の前に停まった。庭いじりが大好きで家庭菜園も本格的な近所のご夫婦に、毎年灰を分けている。うちのストーブの灰を撒くその庭は、この辺りでも綺麗だと評判だ。ガーデニングというのとは違い、花も野菜も楽しんで作っているのがよくわかる明るく暖かい庭だ。
 
末娘は越して来た頃、よく遊びに行かせてもらった。
「田舎の孫だから」と、ご夫婦にはとても可愛がってもらい、何をしているのかと見に行くと、お菓子を食べながら寝転がってマンガを読んでいたり、ゲームをしていたり。本当のおじいちゃんおばあちゃんの家にいるようなくつろぎ方をしていて笑ってしまった。
東京に本当のお孫さんがいるおふたりは、わたしの親ほどの年齢だと聞いたが、とても若い。ウォーキングと庭いじりが若さの秘訣のようだ。
そして何故かびっきーも、とても懐いている。わたしが帰ってきても顔すら上げないびっきーが、ふたりが家の前を通るだけで甘えるような声を出して鳴くのだ。散歩で、明るく暖かいその庭の前を通ろうものなら、迷わず道を直角に曲がり尻尾を振って突き進んでいく。
ふたりは娘にもびっきーにも特別なことは何もしていない。ただただ可愛がってくれているのだ。それが特別かと言えば、確かにとびきりの特別だ。
 
そのご主人が、灰を入れるバケツを両手に提げて来た。
そしてバケツの中から「はいよ」と枝を付けたままの柿を出した。
「あ、柿だ。うれしい。いただきます」
遠慮なくいただいた。灰のバケツに入っていた柿は、まだ少しかたかったが、口に入れると自然の甘みが広がった。明るく暖かい庭で育った柿に、陽だまりのような甘さを感じた。

灰をすっかりとった薪ストーブはよく燃えます
灰をとるのをサボって燃やしていると 夫にすぐバレます
「灰をとって燃やすときれいに燃えるんだよ」
「そうだね」(やっぱ、バレたか)

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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