はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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付随する感情があるからこそ

記憶というのは、不思議なものだ。
例えば「誰々さんから電話があった」と、夫に伝えなくてはと考える。その考えた時点で、自分のなかの記憶上で、伝えたことにしてしまうことが、最近よくある。「考えた = 伝えた」と記憶してしまうのだ。
だから、なるべくその場でメールするようにしている。単純に伝えるだけで済むことならば、余計に忘れやすい。逆にメールで伝えるのが、ややこしいようなことは、忘れてもいいことが割合多いものなのだ。

そして、忘れてもいいようなことに限って、覚えているものでもある。
野菜スティックを作ると、思い出すことがある。

夫と末娘と3人で、イタリアを旅した時のこと。フィレンツェからバスに乗り、シエナという街に行った。中心広場が帆立貝の形をした美しい街で、その広場に建ったマンジャ塔から街を眺めようと、長い列に並んだ。国内外から訪れた観光客のなかには、小さい子どもを連れた家族も多く、3歳くらいの男の子とその両親が、わたし達の前に並んでいた。ドイツ人だったように記憶しているが、その子がぐずり出した。真夏で、暑い日だった。その時、母親が小さなクーラーバッグから取り出したのが、人参スティックだったのだ。子どもは機嫌を直し、人参をうさぎのようにカリカリかじった。その光景がなんとも微笑ましく、ありありと記憶に残っている。

バッグから出てきたものの意外性に加え、その時、感じたこと。
「子ども達が小さい頃、こんな風に野菜スティックを使えばよかったな」
その微かな後悔が、記憶の部屋に、そのワンシーンを残して消し去らない所以なのだと思う。出来事にプラスして、付随する感情があるからこそ、記憶に残るというものなのだろう。

胡瓜と大根と人参の野菜スティック。他に、セロリも美味しいですね。
バーベキューなどのときに、ばーんと置いておくと、ぺろりとなくなります。
 
マンジャ塔と、塔から眺めた風景です。

シエナの青く抜ける空。        photo by my husband

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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