はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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広島平和記念公園で

先週末、夫の実家である神戸に帰省した際、広島まで足を伸ばした。
平和記念公園へ行こうということになったのだ。

原爆ドーム近くの入り口から入り、ゆっくりと歩いた。
38℃を超える強い陽射しのなかで、水分補給をしながら足を進めたのだが、水を飲むたびに、熱風を浴び、水を求めてさまよった人々を思った。
原爆ドーム前では、笑顔で記念撮影する人を見て違和感を覚え、ドームを写真に収めることができなかった。
そして点在する慰霊碑を回り、手を合わせ、平和記念資料館に入った。

原子爆弾の悲惨さは、若い頃に訪れて知ってはいたつもりだったが、資料館を歩いてみて、あらためて感じた。
最初に熱で焼かれ、次に爆風で飛ばされ、建物が壊れ、その下敷きになり、次には至るところで火災が起き、降ってきた雨は黒く、それでも水を欲していた人々がそれを飲み、その後は放射能に蝕まれた身体に苦しむことになる。
起き上がろうとするたびに頭を殴りつけられるような連続の苦しみが、被爆した人々を襲ったのだと、あらためて知った。

資料館を出て、最後に原爆死没者追悼平和祈念館に入った。
そこには、原爆で亡くなった方々の遺影や名前のほか、多くの方の被爆体験記が公開されていた。
被爆5年後に広島市民によって刊行された『被爆体験記』は、反米的内容であると占領軍により配布禁止処分とされ、15年もの間、埃をかぶったままだったという。そこに寄せた大江健三郎の解説「何を記憶し、記憶し続けるべきか?」を読み、ハッとした。
「15年前この書物に加えられた不当な仕打ちは、もっぱら占領軍にその責を帰すべきことでした。しかし今、ここに公刊される体験記を、もし我々が再び不当に扱ってしまうとしたら、その責はすなわち、我々にあります」

もう一度、原爆ドームの前に立ち、写真を撮った。
観て感じたこと、知ったことを、きちんと記憶しておこう。戦争の、原爆の記憶を、自分のなかで不当に扱うことのないように、しっかりと考えよう。きっとその責任があるのだと、そう思った。

「二度と同じような悲劇が起こらないように」という戒めや願いを込めて、
ユネスコの世界遺産に、登録されているそうです。

対岸から見た原爆ドームです。宮島まで船が運行されています。
日本がこれから先、戦争をしない国であってほしいと願わずにいられません。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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