はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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来た道なんて時々確認するくらいがちょうどいい

伊坂の新刊を読んだ。『残り全部バケーション』(集英社)
ちょっと、いやだいぶ遅いんじゃないかって? はい。サボってました。伊坂幸太郎ファンクラブ(在籍2名)の仲間は、今月発売されたばかりの新刊『ガソリン生活』(朝日新聞出版)も、とうに読み終えています。
「残り全部、どうだった?」と聞いても「そんな大昔に読んだ本、忘れちゃったなぁ」と冷たい返事。これだって12月に出たばかりなのに。
「でも、よかった。久々の伊坂、よかった」
キラキラ目で語るわたしに、仲間は呆れ顔で微笑んでいる。

5つの短編から成る連作短編集で、主役は、裏稼業コンビ、溝口と岡田。裏稼業とは? 彼らの場合、主に当たり屋。依頼を受け、ターゲットの車に後ろから追突させ、依頼主に渡す。他にもいろいろやってるようではあるけれど。
話はリーダーの溝口に岡田が裏稼業を辞めたいと言い出したことから始まる。
「相手がつらそうにしてるのを見るのって、あんまり楽しくないんですよ」
溝口は岡田に条件を出す。適当な番号にメールして、その相手と友達になれたら辞めさせてやると。そのメールを受けたのは、離婚するふたりとその娘が、3人離れ離れになる最後の話をしている時だった。自棄なのかどうでもいいのか「いいんじゃないの」と母親。岡田は、険悪な雰囲気の家族3人とドライブし、最後の晩餐を共にすることになった。

岡田は、妻に未練を残した夫に言う。
「過去のことばっかり見てると、意味ないですよ。車だって、ずっとバックミラー見てたら危ないじゃないですか。来た道なんて時々確認するくらいがちょうどいいですよ」
岡田と別れた後、妻は娘に言う。
「さっき岡田さんが言ってた言葉よかったよね。レバーをドライブに入れておけば勝手に前に進むって。気負わなくたって自然と前には進んでいくんだよ」
これが1話目。でも最後まで読まないと、この本の魅力はわからない。

最後の晩餐、何を食べたいですか? やっぱチキンにビールかな。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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