はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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必死に、そしてくよくよと

わくわくしつつ、読み切った。
伊坂幸太郎の新刊『首折り男のための協奏曲』(新潮社)連作短編集だ。
ファンクラブ(在籍2名)の仲間から「買った!」という写メを受け取ってから、買いに行きたくてうずうずし、落ち着かなかった。発売日は一昨日だったが、誕生日だった昨日ようやく入手した。
本屋に寄った際、夫が「誕生日に、何もあげてないし」と買ってくれたのだ。
彼はそのまま出掛け、折しも、ひとりの休日。思いっきりのんびりと、洗濯以外は何もせず、ただただページをめくった。

『首折り男』というから、てっきり『マリア・ビートル』(角川文庫)に登場した七尾かと思ったが別人だった。伊坂小説では、様々な登場人物がリンクして、あちらこちらの小説に登場する。七尾が出てきても可笑しくなかったが、七尾の性格では、彼の役回りはムリだと読み終えて納得した。
そんな風にこの連作短編のなかでも、何人もの人物がリンクし登場する。伊坂小説ファンの大きな楽しみの一つだ。
そして、いくつもシーンやセリフもリンクしていて、それが繋がった時のしびれる様な快感は言葉に出来ない。
『首切り男のための協奏曲』でも、その感覚をたっぷりと味わった。

ストーリーは、かいつまめない。なのでラストに収録してあった『合コンの話』で合コンメンバーの一人が引用したある作曲家の台詞をちょっと紹介。
「人はそれぞれ、与えられた譜面を必死に、演奏することしかできないし、そうするしかない。隣の人の譜面を覗く余裕もない。自分の譜面を演奏しながら、他人もうまく演奏できればいいな、と祈るだけだ」
その引用した彼は、言った。世界中で悲しみを抱えた人々を考える時、
「どうすればいいのかは分からないので、いろんなことにくよくよしていくしかないです」
必死に、そしてくよくよと。そう言えばわたしもそんな風にして生きている。

グローブを持った野球少年の人形と、ナイフの表紙。
一目で、伊坂の小説だと、ファンには判る装丁です。

タイトルに『協奏曲』とあるだけあり、カバーを外すと、
うっすらと楽譜が描かれていました。こういうこだわりが素敵。
  
伊坂小説ではお馴染み、影絵仕立ての章マーク。
夫婦の方は、目線が登場人物ごとに変わっていくタイプ。
泥棒『黒澤』の影絵は、月曜日から曜日ごとに描かれています。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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