はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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待ち時間に通った天使

何も予定がなかった休日。夫と買い物がてら、隣町に出来たティー・レストラン『spoon』にランチを食べに行った。午後2時前だったが人が並んでいる。
「どうする? 並んでまで食べる?」「うーん」
しぶしぶだったが、新しい場所への興味もありドアを開けた。ドアを開け案内されると、まあいいかという気持ちになる。
しかし座ったはいいが、オーダーを取りに来るまで何もないテーブルで10分以上は待たされた。待つのはいい。先に予定が詰まっている訳ではないのだ。

夫は撮ったばかりの風景などを、カメラのモニターで見ている。周りを見回すとほとんどが女性客で、にぎやかにおしゃべりしている様子だ。わたし達のテーブルのみ、ぽつりぽつりと写真の話をするだけ。
突然焦りを感じた。沈黙した一瞬、天使が通っているのが見えてしまったのだ。何かしゃべらなくてはいけないという焦燥感に、話題を探した。そうだ、彼が好きなサッカーの話題がある。
「ら、来年のワールドカップは観に行くの?」「うーん、考え中」
夫はカメラを見ながら、上の空だ。
「遠いからね、ブラジル」「遠いねぇ」
「観光名所とか、あるの?」と、わたし。すると夫は、
「急に話フラれても、わかんないよ」会話を終わらせてしまった。
そこでようやく、女の子がオーダーを取りに来た。料理は美味しく、様々な味の紅茶がポットに用意されるたび、何杯でも注いでくれる。
ゆったりとした、気持ちのいいランチとなった。

さて。車に乗ってからわたしは、文句を言うのも忘れなかった。
「何かしゃべらなくちゃって、緊張して話題探したのにさ」
「えっ? 緊張してたの?」と、助手席で笑いながら夫。
そう言われて、ふたりで旅行した時など、何時間も飛行機や電車に揺られ、おたがい本を読んだり眠ったり好き勝手しているのにと、わたしも急に可笑しくなった。女性客ばかりのあの雰囲気に、やられた。わたしとしたことが、天使の幻影を見てしまうとは。

国道141号沿いですが、小さなガーデンがありました。

茄子とモツァレラチーズのトマトパスタ。
メニューはピザ、石焼丼、飲茶セットなど種類豊富でした。

淹れてくれたのは、メロン風味の紅茶。香りより味がしっかりメロン!
にぎやかな場で一瞬沈黙した時に「天使が通った」と表現するのは、
フランスの諺から来ているそうです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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