はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
[228]  [227]  [226]  [225]  [224]  [223]  [221]  [222]  [218]  [217]  [216

チゲ鍋と心のかたち

チゲ鍋を食べつつ、心のかたちを思い浮かべた。
よく行くショッピングモールの中華料理屋で、ひとりランチをした。チゲ鍋が美味しそうだったのだ。
わたしには、チゲ鍋を食べると思い出すエピソードがある。
ある夜、チゲ鍋が原因で夫と喧嘩した。翌日、どうにも腹の虫がおさまらず、わたしは人目をはばからず思いっきり泣ける場所へと直行した。映画館だ。観たのは『おくりびと』いい映画だった。そのうえ、ぽろぽろ涙をこぼし泣いていても見咎める者もなく、泣くために観るには最適の映画だ。
その映画『おくりびと』のなかに、主人公が子ども時代、父親と過ごした時間を思い起こすシーンがある。川原で父に「石文」というものを教わったのだ。石のかたちや手触りが自分の心に近いものを相手にわたし、また相手も心に近いものを手渡してくれる。それで、おたがいの気持ちを理解しようとする。主人公は父親と心のかたちを交換した。そのシーンがとても好きだった。
「わたしの心も、この星の何処かにころがってるんだ」
そう思いながら、また泣いた。思う存分泣いた。そして、すっきりして家に帰った。それ以来、チゲ鍋を食べるたびに思い出す。心のかたちを。石文を。自分の心が今どんなかたちなのかを考え、手触りを考えるのだ。そんな風に食べ物や匂いで、連鎖反応のように何かを思い出すのって、よくあることなんじゃないかな。
 
ところで、いったいチゲ鍋の何処に夫婦喧嘩の種があるのかって? 夫婦喧嘩の種など、何処にだって埋まっているものだ。チゲ鍋にだって、ビーフストロガノフにだって、焼きそばパンにだって。うっかり水を注げば、勢いよく芽を出し大輪の花を咲かせ、大きな火花と共に散るものなのだ。
 
野菜たっぷりで身体じゅう温まりました。
もう一度雪が降ってもがんばれそうです。

拍手

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
Template by repe