はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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サンキュー! ローバー

マイカー、フィットが1週間の休暇を取っている。積雪休暇だ。

町内の道は所々トラップのように凍っていて、二駆のフィットでは心許ない。なので夫の四駆、ランド・ローバーが活躍中だ。雪が降りしきる中も、翌日の凍った朝も、パワーのあるローバーだから安心して運転できた。

町内でも、家から歩いて15分下れば、もう凍った道はない。町道沿いに住む人には四駆は必要ないかもしれないが、標高600mの我が家には、なくてはならない存在だ。だが大きいだけにハンドルもアクセルも重く、雪道の運転という緊張感も加わり、比喩ではなく身体中が痛くなった。運転席から降りた時これってスケート靴を脱いだ時の感じと似ているなと思うほどに。そして江國香織『ぼくの小鳥ちゃん』(あかね書房)の大好きなシーンを思い出した。

「これこれ」彼女が笑いながら言う。
「私これも好き。すごくおかしいんだもの」
もちろん、ぼくにはこれというのがなんのことだかちゃんとわかった。スケートのあと、普通の靴で歩こうとするとぎくしゃくする、足が地につきすぎる、とでも言いたいような、あの妙なかんじのことだ。
ぼくたちは、そのへんなかんじをたのしみながらスケートリンクをあとにした。くらくなりかけた空に、かげのうすい三日月がはりついている。

 

そんなわたしだが、ローバーを運転するのは嫌いじゃない。目線が高くなり、運転席からの景色が広がる。それがとても心地いい。春が来るまでは、いく度となくローバーのお世話になりそうだ。

「サンキュー! ローバー。明日も頼むよ」わたしは、ボンネットに触れた。
「もちろん」ローバーは、力強く答えてくれた。

南アルプスの甲斐駒ケ岳を背にして。

まだまだ、路肩の雪は解けてくれません。




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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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